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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第十一章◆◆ 姉より優れた妹が存在するかどうかについて 
366/635

◆366◆

 同じ育ち盛りの高校二年生女子ではあるものの、お色気たっぷりの裸ローブCMで良くも悪くも話題になる程に成長したコルティナと、海岸で無邪気に砂遊びをしている水着ポスターが大きいお友達に大人気になる程に成長が見られないエーレとが、互いの健闘を称えるべく試合場の中央で抱き合う姿は、母親に抱きつく幼い娘を見ている様で妙に微笑ましかった。


「だから、頭を撫でるのやめなさいっての!」


「うふふ、撫で易い位置にあるからついー」


 変態痴漢常習犯パティ程ではないが、嫌がるエーレをここぞとばかりに撫で回そうとするコルティナ。


「やっぱり、ホームのあなたを倒すのは至難の業だわ」


 さりげなく手を払いのけつつ、決勝戦の感想を述べるエーレ。


「アウェイでは二敗してるけどねー。何もかも上手く行かないのが人生だよー」


 払いのけられた手で別の場所を撫で回そうとするコルティナ。ある意味、試合はまだ終わっていないのかもしれない。


「そうね。正に今それを実感させられてるんだけど」


 しつこく撫でようとしてくる手を防ぎ続けるエーレ。


「今日はかろうじてエーレに勝ったけれど、かなり際どい所だったよー。試合中ずっとエーレの背後にエーヴィヒさんの姿が見えてたしー」


「ストーカーもそこまで来ると生霊ね」


「それともエーレは、『エーヴィヒさん抜きで戦いました』って言うつもりー?」


「剣術に関して色々と協力してもらってる事は認めるわ。剣術『だけ』に関してはね」


「『私の剣術の半分はエーヴィヒさんで出来てます』って認めるのねー?」


「どこぞの頭痛薬じゃないんだから。データ分析で世話になったから、二割位はそうかもしれないけど」


「二人で一緒の目的に向かって、密接な協力関係の下、初めての共同作業に当たったのよねー?」


「何か言い方に悪意を感じるんだけど、まあそういう事よ。剣術『だけ』に関しては」


「エーヴィヒさんを、エーレにとって大切なパートナーとして認めるのねー?」


「認めるわ。剣術『だけ』に関しては」


 素っ気なくではあるがエーレが認めた所で、コルティナはようやく執拗な撫で回し攻撃を停止する。


「エーヴィヒさんの事だから、きっと、今この瞬間のエーレの姿も撮影してるよー」


「してるでしょうね」


「エーレの口元をアップにすれば、読唇術が出来る位に鮮明な画像でー」


 エーレはそこでハッとして、右手で口を押さえたがもう遅い。


「きっと、今の言葉を喜んでくれると思うよー」


 ふわふわとした笑みを浮かべつつ、満足げに頷くコルティナ。


 エーレの悪い予感は的中し、後日、


『エーヴィヒさんを、エーレにとって大切なパートナーとして認めるのねー?』


『認めるわ』


 のやり取りの部分を抜粋して、その台詞を字幕で表示した編集動画をエーヴィヒから嬉しそうに見せられ、


「光栄の至りです、エーレさん」


「そこだけ切り取るなあ!」


 テーブルを、バンッ、と叩いて逆上したと言う。


 「コルティナとエーヴィヒが自分を陥れるべく実は裏で結託しているのではないか」、という疑惑がエーレの中で浮上。

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