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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第九章◆◆ 美少女剣士達のメディア戦略について
309/635

◆309◆

 キレたエーレを何とか宥めたエーヴィヒは、アウフヴェルツ社の緊急企画会議に戻り、


「非常にまずい事態です。このままではエーレさんのご機嫌を損ねた挙句、最悪の場合自主降板もあり得ます」


 会議と称して互いの特殊属性の発表会を開いていたCM制作チームに言い渡す。


「何とかそれだけは思いとどまってもらわないと」


 夜の夜中に集まって、幼女の水着の魅力について真剣に討議していた面々は、一瞬にして蒼ざめた。


 それ程までにエーレは、今やアウフヴェルツ社の製品の売上を大きく左右する存在なのである。


「水着になる事を何とか承諾して頂いたとは言え、エーレさんもお年頃の少女です。調子に乗って露骨にセクハラじみた事を強要すれば、当然反感を抱かれます」


 力説するエーヴィヒだが、エーレに一番反感を抱かれたのはセクハラではなく、他ならぬエーヴィヒによる露骨な幼女扱いの方だった事は自覚していない様子。


「ここは余計な変更を加える事なく、最初の案でそのまま行きましょう。そもそもエーレさんにとって、コルティナさんの大人のお色気に勝負を挑む事自体が、壮大な無茶ぶりだったのです」


 エーヴィヒのこの提案が全会一致で承認され、緊急企画会議は終了したが、もしエーレがこの場にいて聞いていたら、


「壮大な無茶ぶりで悪かったな!」


 と激怒の余り、本当にCMを自主降板していたかもしれない。


 その後エーヴィヒは、知らぬが仏のエーレに結果だけを伝え、


「そうですか。それなら問題はありません。制作チームの暴走を止めて頂いたエーヴィヒさんには感謝します」


 エーレは微妙に騙されたまま撮影を続行。最初の構想通りの以下の様なCMが完成する。


 CGで作成された青く神秘的な海の中を、3DCGモデルのエーレが高速で自由自在に泳ぎ回り、同時に着ている白いワンピースの水着が様々なデザインの水着に次々と変化して行く。


 最後は本物のエーレの上体が海面から水しぶきを上げて、スローモーションで飛び出す映像と共に、


「ちっちゃくても高速多機能!」


 本人の声でナレーションが入り、


「今、アウフヴェルツ社製品を買うと、もれなくエーレの水着ポスターがもらえます! 詳しくは店頭で」


 五種類のデザインの異なる水着ポスターの画像と共に、別の声で今回のCMの最大の殺し文句が入って終了。


「流石アウフヴェルツだねー。映像がすごく綺麗だったー」


 早速CMを見たコルティナが、エーレに電話で感想を述べる。


「今回、あんたのせいで私までえらい目に遭う所だったんだけど」


 自分でも八つ当たりだとは分かっているが、一応抗議するエーレ。


 なお、一番人気のあった水着ポスターは、ピンクのフリフリのワンピースでエーレが浜辺で無邪気に砂遊びに興じているものだったという。

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