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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第九章◆◆ 美少女剣士達のメディア戦略について
307/635

◆307◆

 恐れ敬われるマントノン家のシェルシェ、ひたすら愛でられるレングストン家のエーレに対し、ララメンテ家のふわふわお嬢様ことコルティナは、一言で言えば「やりたい放題」であった。


 例えば、呼ばれてもいないのに道場の幼年部に、CMでお馴染みの魔女コスプレ姿で颯爽と現れ、


「みんな、ふわふわになーれー」


 と言って、子供達を大いに喜ばせて稽古の妨害を行い、


「ご迷惑をお掛けしました」


 と仲間達に両脇を抱えられて連行されるも、


「小さい子には夢を与えなくちゃねー」


 反省するどころか開き直り、


「時と場合と種類を選べ」


 とツッコミを入れられるなど、その奇行の枚挙には暇がない。


 大会が一段落し、菓子メーカーアトレビドからの新CMのオファーを、


「小さい子に夢を与えに行って来るねー」


 とノリノリで受け、企画会議から戻って来ると、


「私の案が通ったよー」


 喜々として報告し、仲間達を不安にさせるコルティナ。


「変な案じゃないでしょうね。ウチの道場の名誉を失墜させる様な」

 

「うふふ、まさかそんな事はしないよー。子供達が喜びそうなファンタジーな映像だから期待しててねー」


「また、ほのぼの魔女モノ?」


「そんな所かなー」


 そして迎えたCM放映日。


 それまでのベタな低予算っぽいコントとは打って変わり、真っ暗闇の中、黒いトンガリ帽子と黒ローブ姿のコルティナがスローモーションでただ踊るだけという、イメージビデオの様なCMを見た道場の仲間達は、思わず絶句する事になる。


 踊っている事自体に特に問題はない。が、当のコルティナは帽子とローブだけしか身に着けておらず、体を動かす度にローブがはだけ、肌がかなり際どい所まで露わになるのだ。チラチラと。


 もちろん大事な場所はしっかり隠れているが、逆に想像力を刺激する狙いである事は間違いない。


「みぃーんな、ふわふわに、な、あ、れ」


 と最後に気だるい口調で決め台詞を言った後、棒状の麩菓子を口にする場面のアップはある意味反則。


「アレのどこが、子供が喜ぶファンタジーだっ! 喜ぶのはむしろオッサンだろ!」

「親と一緒に見てたら気まずくなったわ!」

「もう魔女じゃなくて痴女だよ!」


 早速、仲間達からコルティナに苦情が寄せられる。


「うふふ、大丈夫だよー。実は下にちゃーんと水着を着て撮影してるからー」


「そういう問題じゃないっ!」


 ツッコミを入れつつ頭を抱える仲間達。


 が、CM自体は子供達にバカ受けで、今まで同様、菓子の売上に大いに貢献し、特にララメンテ家の名誉が失墜する事もなかったという。


 ただ、多くの子供達に「裸ローブ」という特殊な性癖を植え付けたのではないか、という意見も一部の有識者から上がった様である。


 小さい子には、与えていい夢と悪い夢がある事を忘れてはいけない。

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