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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第九章◆◆ 美少女剣士達のメディア戦略について

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282/638

◆282◆

「今日は何にも考えず、帰ってゆっくり休むことー。優勝祝賀会はまた後日やるからねー」


 大会終了後、医務室で休んでいた為、皆より少し遅れて会場から出て来た今日の主役ことセレサ・アブリルに、選手達の指導の総元締めであるコルティナが帰宅を促した。


「はい、今日はこのまま帰ります。ご心配をおかけしてしまってすみません」


 まだ少し疲れた様子が残るセレサが謝ると、仲間達が一斉に、


「優勝したのに謝ってどうするの」

「しかも、あの『大道芸人』パティ・マントノンに勝ったのに」

「もっと誇っていいから」


 ほのぼのとしたツッコミを入れて笑う。


 セレサもつられて笑った後、


「でも、私一人じゃ絶対勝てなかった。皆で少しずつパティさんの力を削いで行ったから、最後に当たった私が食い止められたようなものだよ」


「おやー? 噂をすれば影だねー」


 コルティナが振り向くと、セレサが文字通り全身全霊を懸けて倒した強豪パティ・マントノンが、こちらにやって来る所だった。


「優勝おめでとう。いい試合だったわ。でも、体調は大丈夫? 何だか、まだ少し顔色が悪いわ」


 変態モードを自粛してセレサを気遣うパティ。こうしていると、本当にまともなお嬢様にしか見えない。


「だ、大丈夫です。あの、気を失った時、パティさんにもたれかかってしまってすみませんでした」


 改めて、テレビでお馴染みの超絶美少女を目の前にして緊張するセレサ。


「でもー、まだ見ての通り本調子じゃないから、お手柔らかにねー、パティ」


 横からパティを牽制するコルティナ。もちろん「お手柔らかに」とは「踊り子さんに手を触れない様に」という意味である。


「そうですか、出来ればもう少しお話したかったのですけれど。負担にならない様にこれでお暇しますね」


 コルティナに素直に従うパティ。もちろん「お話したかった」とは「お触りしたかった」という意味である。


「セレサさん、どうぞお大事に。また戦える日を楽しみにしてるわ」


「は、はい。こちらこそ」


 セレサと握手だけ交わし、そのまま帰ろうとするパティにコルティナが、


「もうちょっとそこに隠れてると、面白い事があると思うよー」


 と、いたずらっぽく耳打ちし、その言葉の意味を察したパティが素早く柱の陰に隠れた直後、今度はレングストン家のエーレがこちらにやって来た。


「優勝おめでとう、セレサさん。あのパティを相手に最後まで粘り抜いて勝った試合、とても感動したわ! 体の方は大丈夫?」


 ツンデレである一方で、熱血スポ根気質も多分に持ち合わせているエーレだけあって、セレサが決勝戦で見せたガッツに心を揺さぶられまくっていたのである。


「あ、ありがとうございます。体は大丈夫です」


 パティに続いて、テレビでお馴染みのちっちゃくてかわいい美少女が自分に会いに来てくれた事に舞い上がってしまうセレサ。 


「そう、よかったわ。でも無茶は禁物よ。ところで、コルティナ、優勝祝賀会は延期した方がいいわよ。今日は大事を取った方がいいから」


「うふふ、祝賀会はまた別の日にやるよー。今日はとりあえずセレサ抜きで反省会だけー。やる事はいつもと変わらないけどー」


「ならいいわ。この子に無理をさせちゃダメよ」


「この子に無理をさせられない分は、エーレが引き受けてねー」


「私がララメンテ家の反省会に出てどうするのよ。それにこれからウチもミーティングがあるし」


「そうじゃなくてー。エーレ、うしろ、うしろー」


 コルティナの言葉を受け、エーレが後ろを振り向くと、


「エーレさん! どうも御無沙汰してます!」


 いつの間にか気配を殺して忍び寄っていたパティが、顔を紅潮させ舌舐めずりをしながら立っていた。


 エーレは悲鳴を上げる間もなく変質者に抱きつかれて体をまさぐられまくり、セレサの身代わりとして尊い犠牲となったのだった。

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