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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第九章◆◆ 美少女剣士達のメディア戦略について

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273/638

◆273◆

 ふわふわと突っ立ち、ふわふわと中段に剣を構え、ふわふわと待ち受けるお馴染みの構えに戻したコルティナに対し、十分間合いを取り、左の短剣を前に突き出し、右の長剣を振りかぶって様子を窺うエーレ。


 今までのコルティナらしからぬ積極攻勢は一体何だったのか、という疑問を心の片隅に追いやりつつ、観客達はにらみ合ったまま動かない二人に熱い声援を送る。


「シェルシェの予想通りになったな」


 双眼鏡を覗き込みながら興奮した口調でミノンが言う。


「必要なデータは全部取得した、という事かしら」


 同じく双眼鏡を覗き込みながら興奮した口調でパティも言う。ただし、その視線は主にちっちゃいエーレに集中しており、おそらく別のデータの取得に余念がないものと思われる。


「ふふふ、危ない橋を渡って持ち帰ったデータをどうフィードバックして来るのか、とくと見せてもらいましょう」


 同じく双眼鏡を覗き込みながら興奮した口調でシェルシェも言う。双眼鏡で隠れているがその目は妖しい光を帯びており、名門の若き女当主と言うより、獲物を狙う殺人鬼の方が近かった。


 観客達の興奮とは対照的に、エーレとコルティナは冷静に互いの出方の探り合いに終始していたが、不意にエーレが前に飛び込み、二剣を巧みに操ってコルティナへ激しい連打を浴びせ始める。


 が、コルティナはそれらをことごとく最小限のふわふわな剣さばきで防御し、観客達を大いに盛り上げた。


 そのまま二人は接近した状態で鍔迫り合いとなり、互いにゆっくり離れた直後、エーレが前に出て長剣でコルティナの頭上を素早く打ったが、コルティナもエーレの右手首を同時に打ってこれを相殺し、また鍔迫り合いに持ち込んでから、ゆっくりと離れて睨み合いに戻る。


 一時はコルティナの不調を心配した観客達も、こうして絶好調のエーレの連打を受けきるだけの技量を見るに及んでようやく安心した様子。


 が、再びエーレが飛び込んで来たのを、コルティナがカウンターの突きで仕留めようとして、双方攻撃に失敗、勢い余ってぶつかってから鍔迫り合いに移行。互いにゆっくりと後退し、剣と剣が離れる直前、エーレがくるりと一回転してコルティナの右胴を打ち据えた。


 コルティナも同時にエーレの頭上を狙って打っていたが、エーレは短剣を横に持ち上げてこれを防御。エーレの勝利が確定する。


「あー、負けた」

「コルティナの調子は、まだよく戻ってなかったのか」

「次の大会までには、完治しておいてくれよー」


 いつの間にか観客達の間で病人にされてしまっているコルティナ。もっともコルティナ本人はそう言われても気にせず、


「まかせてー、しっかり養生するからねー」


 位のボケは言い出しかねないが。


「ふふふ、恋人達の愛の力が、ふわふわ魔女の魔法を打ち破った様ですね」


 そして、いつの間にかシェルシェの中で恋人認定されてしまっているエーレとエーヴィヒ。エーレ本人が聞いたら、


「誰が恋人よ! エーヴィヒとはそんなんじゃないんだからね!」


 と激しく抗議した挙句、「ツンデレキター!」と逆に皆を喜ばせてしまった事だろう。

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