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先のレングストン家の大会で、ティーフが三年前シェルシェに惨敗を喫した時とほぼ同じシチュエーションでその妹ミノンに勝利し、名誉を挽回した事は記憶に新しい。
が、コルティナの場合、三年前にシェルシェに惨敗を喫して、今回ミノンに勝利した事では同じでも、
「コルティナって、そういう事を全然気にしてないイメージしかない」
「年々ふわふわ度が増して、浮世離れに拍車が掛かっている気がするもんな」
「あのふわふわを見てると、何かこう、気が楽になって来る」
名誉挽回に関係なく、すっかり癒し系のゆるキャラ扱いになっていた。
一方、惜しくも敗れたミノンは、一本取られた直後こそ非常に悔しそうな様子であったが、脳筋だけあって立ち直りが早く、マスクを取り、コルティナと抱き合って互いの健闘を称え合う頃には、もう強敵と剣を交えられた喜びの方が大きくなっていた。
「見事な一打でした。あの後、剣を両手持ちに変えて、一気に畳み込むつもりだったのですが」
自分の手の内を、喜々として解説するミノン。
「それはシェルシェの作戦?」
ふわふわと尋ねるコルティナ。
「はい、徹底的に指導されました」
「道理でお姉さんに似てると思ったー」
「そんなに似てました?」
「特に片手で上段に剣を構えた時とかー」
「ああ、三年前にシェルシェがとった戦法ですね」
「まるであの時のシェルシェが、そのままミノンに乗り移ってたみたいだったー」
「はっはっは、違いありません。シェルシェもコルティナさんと戦いたがっていましたから」
「シェルシェは変わってないねー。三年前のデータが、今になっても使えるとは思わなかったよー」
そう言ってコルティナは目を閉じ、
「でも懐かしかったなー。シェルシェと試合をしてるみたいだったー」
「それを聞いたら、シェルシェも喜ぶでしょう」
「部屋の整理をしてたら、古い雑誌が出て来て、つい読みふけっちゃう感じかな?」
「すみません、その例えはよく分かりません」
二人はシェルシェをダシにして笑い合った。




