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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第二章◆◆ 不死身で無敵な殺人鬼となった娘の恐怖について †レングストン家の悪夢†
22/632

◆22◆

 試合前、頭部と顔面を防護するマスクを外している状態のシェルシェを見た、対戦相手の少女は、


「本当にきれいだなぁ。試合を前にして、大して緊張してる様子もないし。それどころか、優しそうに微笑んでいらっしゃる位、余裕じゃないの。あーあ、さぞかし華麗で優雅な戦い方をされて、私なんか無様に負けちゃうんだろうなあ」


 それほど強くない自分が、美少女剣士の引き立て役に終わる事を予期して、少し憂鬱になった。


 やがて両者共に防護マスクを被り、離れた位置で向かい合って一礼の後、中央で約三メートル程の距離に近付いて剣を構え、


「始め!」


 の合図と共に、試合が開始される。


 華麗で優雅な戦い方をする、優しそうな微笑みの似合うお嬢様。


 そんなシェルシェのイメージは、一瞬で対戦相手の頭から吹っ飛んでしまった。


 とにかく、防護マスクの金網ごしに見えるシェルシェの顔が怖い。小学生女子がしていい顔じゃない。さっきまで優しそうに微笑んでいらっしゃったお嬢様はどこへ消えたの。


 確かに笑顔だけど、快楽殺人者が獲物の息の根を止める直前に見せる狂気の笑顔だ。実際に見た事ないし、見たくもないけど。でもその表現が一番しっくりくる。


 顔だけじゃない。全身からも禍々しい妖気が漂っている。もうこれは人じゃない。何か伝説上の魔物の類だ。


 そんな風にすっかり恐怖に呑まれてしまった対戦相手の少女は、抵抗らしい抵抗も出来ないまま、立て続けに頭部への攻撃を受け、あっと言う間に二本取られて敗退したが、試合の後、


「でも、もっと怖かったのは、そんな恐ろしい顔をしていたシェルシェさんが、試合が終わって防護マスクを外した途端、一瞬でまた元の優しそうな笑顔に戻った事。嘘じゃないわ、本当よ」


 と、蒼ざめた表情で友人達に訴えた。


 ホラー映画の序盤に出てくる、人に化けている怪物の正体を見たのに誰にも信じてもらえない村人A的な感じで。

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