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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第八章◆◆ 大道芸人のデビューと三大令嬢決戦について
214/632

◆214◆

 その後シェルシェとパティは、マントノン家の屋敷の敷地内にある稽古場に赴き、エフォール叔父と特訓に励んでいるミノンに会った。相変わらず、この脳筋と熱血漢がエキサイトしていると、稽古場内の温度がやたら高くなる。


 むせかえる様な熱気の中、激しい打ち合いの末に一区切り付いた所で、ミノンが防護マスクを取り、


「今日の試合を見ていたら、俄然やる気が湧いてきた」


 と、目を輝かせて言う。


「気を付けなさい。あなたはもう先の二大会で、かなりのデータをコルティナに与えてしまっているのですから」


 シェルシェが警告する。


「いよいよ能力全開のコルティナと、その作戦を授けられたララメンテ家の選手達と、思う存分戦える訳だ。アウェイの二大会と違ってホームではまた一段と強くなってるんだろうなあ」


 ますます目を輝かせる脳筋。


「ええ、ホームとアウェイでララメンテ家の選手達が全く強さが違う事は、私も今日の大会で実感したわ」


 パティが口を挟む。


「データ分析抜きでも?」


「データ分析抜きでも。傍目には私が楽に勝っている様に見えていたかもしれないけれど、実際は素でかなり強くなっていて、先の二大会とは皆まるで別人みたい」


「決勝戦では突きまで食らってたしな」


「もう何試合かあったら、負けてたかもね」


 おどけて肩をすくめるパティ。


「それより、ララメンテ家も結構可愛い子が多くて。特にそのベルドラって子は反応がかわ」

「一日に二回も地下倉庫に行きたいのですか、パティ?」


 桃色の白昼夢に耽りそうになるパティを、シェルシェが笑顔で脅迫して無理矢理引き戻す。


「コルティナはあの若さで、既に達人の風格が備わっている気がする。くれぐれも油断するな、ミノン」


 澱みかけた流れを無視して、熱血カリスマ剣士ことエフォール叔父がミノンに申し渡すと、


「達人相手に油断出来る程の精神的余裕など、私にはありません」


 ミノンは拳を握り締め、


「試合時間の一分一秒を無駄にしたくない気持ちで一杯ですから!」


 気分はすっかり、お祭りに興奮する子供そのままだった。

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