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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第八章◆◆ 大道芸人のデビューと三大令嬢決戦について
199/635

◆199◆

 剣を上段に構えてぴたりと静止し、


「どっからでも掛かって来い」


 と待ち構える巨大怪獣ミノンに対し、中段に構えた剣を小刻みに振りつつ、


「何としても倒す」


 と気迫をみなぎらせて、じりじりと間合いを詰めて行くティーフ。


 互いの射程距離に入るや否や、ミノンの剣がティーフの頭上を、ティーフの剣がミノンの左胴を、それぞれ同時に激しく打ち、審判はこれを相打ちと判断して試合続行、鍔迫り合いに持ちこんでからゆっくりと離れて行き、剣と剣が離れた瞬間、再びミノンがティーフの頭上を、ティーフがミノンの左胴を、素早く同時に打ち据える。


 審判の相打ちの判断が出る前に、ティーフは思い切って大きく後退し、ミノンは高く剣を振り上げてゆっくりとそれを追う。


 後退を停止したティーフは不意に突撃に転じ、真っ向からミノンに激しい連打を浴びせたが、ミノンはこれらを負けず劣らず激しい剣さばきでことごとくブロック。また鍔迫り合いの押し引きに移行し、互いに剣を打ち込むタイミングを見計らっているのであろうが、その光景は、


「どけや、オラ」

「てめえがどけや、オラ」


 と、二頭の巨大な野生のバッファローが角を突き合わせて押し合う雰囲気に近かったかもしれない。


 先程までの巧みだが地味な試合展開から一変して、両者共に凄まじい気迫のこもった戦い振りに、観客達も、


「そうそう、俺達は巨大怪獣にこういうのを求めて大会を観に来たんだよ」

 

 と大満足。


 何度も離れては打ち合い、さらにはぶつかり合い、ついにティーフが勢い余って転倒したところで試合時間終了。


 勝負は延長にもつれ込んだが、観客達はこの試合に優勝や二冠が懸かっている事などすっかり忘れ、さらなる激闘を期待して熱い声援を送った。


 巨大怪獣が大暴れしない怪獣映画は、やはりどこか物足りないのである。

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