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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第八章◆◆ 大道芸人のデビューと三大令嬢決戦について
196/635

◆196◆

 試合そのものは地味だったが、エーレがここで敗退した事の意味は大きかった。


 レングストン家を守る最強の駒が盤上から消えた今、他家の強豪、即ちミノンかコルティナのどちらかが、この大会を制する事がほぼ確定したからである。


 そして予想通り、その後も順当に勝ち進んで行ったこの巨大怪獣とふわふわ予知魔のお嬢様は、準決勝戦で対決する運びとなり、


「エーレが消えた今、これが事実上の決勝戦だな」

「もう一方の準決勝まで残ったレングストン家の選手も、どっちが決勝に進出した所で、あの二人の敵じゃなさそうだ」

「こりゃ事によると、久々にミノンの二冠達成の瞬間が拝めるかもしれねえぞ」


 観客達も二冠の可能性が現実味を帯びて来た事で、お祭り騒ぎを前にした子供達の様にワクワクが止まらなくなって来た。


 そんな周囲のテンションの高さとは裏腹に、試合が開始されると、気合いを込めて上段に剣を構えるミノンと、気合いを全く込めずに中段に剣を構えるコルティナは、間合いを取って対峙したままほとんど動こうとしない。


 巨大怪獣の大暴れを楽しみにしていた観客達は、ここでもまた裏切られた感があったが、二つの置物の様にほとんど動かない二人をよく見れば、互いに相手の動きに合わせて微妙に動いているのが分かり、


「目の錯覚で動いている様に見える静止画像みたいだな」


 と、おかしな楽しみ方を発見する者まで現れる。


 このまま延長戦にもつれ込めば、また違った展開になるのかも、と一部の観客達から思われつつ、試合終了時間を迎えようとするその寸前、ミノンが左手を伸ばして剣を何気なく振り下ろし、これに反応しきれなかったコルティナの右手を的確に打ち据え、これがあっさり一本となってしまった。


 エーレ戦に続いて、ここでも巨大怪獣らしからぬ地味な攻撃を仕掛けた事に観客達が驚く暇もなく、試合再開後にすぐ試合終了となり、ミノンの判定勝ちとなる。


「読み合い勝負で、巨大怪獣が予知能力者に勝つとはなあ」


 そこだけ聞くと、まるで低予算SF娯楽映画の様であった。

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