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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第八章◆◆ 大道芸人のデビューと三大令嬢決戦について
189/635

◆189◆

 大会終了後、決勝で敗れはしたものの、見事な二刀流の腕前を見せたパティと、エディリア剣術界で一番有名な二刀流剣士エーレとが会場の外で会う場面を、マスコミは見逃さなかった。


 と、言うよりパティ本人が、


「二刀流の大先輩に当たるエーレさんに、これから挨拶して来ます」


 と、記者達が食いつきそうなネタ振りをして、ここまで誘導したのである。


 ぞろぞろ記者達を引き連れて現れたパティに対し、エーレもその場の空気を読んで、特にこれを嫌がる事もなく、


「マントノン家の二刀流、とくと見せてもらったわ。素晴らしい技量ね」


 と、マスコミを意識しつつ、笑顔で声を掛ける。


「ありがとうございます。エーレさんにはまだまだ及びませんが、いずれその域に近づければと願っています」


 パティも、当たり障りのない返答をして微笑んで見せた。


 「美少女剣士が和やかに会話している場面」こそ、マスコミの望む絵だと二人とも承知している。これも剣術界を世間にアピールする手段の一つ、と割り切っているのだ。


「残念ながら年齢差があるので、エーレさんと直接試合が出来るのは、まだまだ先の話ですが」


 エーレの方が四歳上だが、パティの方が背が高く大人びて見える為、これはある意味意地の悪いジョークに聞こえない事もない。


 だがエーレは特に気を悪くする事もなく、


「一般の部で戦える様になるまでに、八年もあるわね。あなたがさらに二刀流を極めてやって来るのを、楽しみに待っているわ。もっとも、あなたはこちらの裏をかいて、一刀流で挑んでくるかもしれないけれど」


「そんなに早く、こちらの手の内を見抜かないでください」

 

 和やかに笑い合う美少女二人の姿を撮ろうとして、記者達が一斉にフラッシュの嵐を浴びせる。


 その後も和やかなムードのまま、当たり障りない会話を続けた後、記者達の求めに応じて寄り添って握手をしてみせる二人。


 パティは身長差を活かし、並び立つエーレの胸元に握手の位置が来るようにしてから、上下に軽く振ると見せ掛けて、手の甲でそのささやかな胸を執拗に撫で回し始めた。


 まさかこの場で「この人痴漢です」と訴える訳にもいかないエーレは、胸をパティに触られまくりながら、


「何で私がこんな辱めを受けなくちゃならないの」


 と、心の中で嘆きつつ、記者達のカメラの前で営業スマイルを浮かべ続けていた。  


 その傍らで、やたらイキイキツヤツヤな笑顔のパティ。


 正に変態。

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