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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第八章◆◆ 大道芸人のデビューと三大令嬢決戦について
184/632

◆184◆

 先の大会のデータを元にして、マントノン家の大道芸人パティを封じようと画策していたララメンテ家の選手達は、この突然持ち出された二刀流に、


「話が違う」


 と戸惑いつつも瞬殺されて行き、却ってこの大道芸人のパフォーマンスを引き立たせる結果となってしまった。


 パティが主張する所の、「データ分析主義の否定」が、非常に分かり易い形で実証されたのである。


「言うだけの事はあるな、あの大道芸人」

「いくら分析しても、別の手で来られたら意味ねえし」

「一生懸命ヤマを掛けたのに、見事に外れた試験みたいなもんか」


 こうして大道芸人の演出に魅了された観客達の大半が、用意された結論に向かって誘導されて行く。


「剣術って、そんな単純なものじゃないっての」

「データ分析はあくまでも一つの手段であって、それが試合の全てを支配する訳じゃないよね」

「でも、負けてるから何も言えない。あー、パティ強過ぎ」


 後輩達が次々とやられていく様子を目の当たりにしながら、もどかしい思いをするララメンテ家の道場生達。


「うふふ、これでウチの大会も盛り上がるねー。『次にパティはどんな事をやってくれるのか』って、お客さんがわんさか押し掛けるよー」


 その中心にあって、相変わらず空気を読まないふわふわお嬢様ことコルティナ。


「確かに興行も大事だよ、うん。でもララメンテ家の大会がマントノン家に完膚無きまでに叩きのめされたら、マズくない?」


 道場生の一人がたまりかねて苦言を呈する。


「内部外部に関係なく強い選手が勝つ、それだけだよ、大会はー」


「そりゃ、そうだけど。とりあえず、あの子達の惨状を見て思うところはないの?」


「二刀流の強者を相手にする機会は滅多にないからねー。いい経験になったと思うよ」


「はあ、あんたには敵わんわ」


「うふふ。指導者たるもの、選手がボロ負けしてる時ほど辛い事はないけど、最後までしっかり見届けなくちゃいけないからねー」


 そこで双眼鏡を手にして、


「それに、前回は一刀流、今回が二刀流なら、もう手の内は尽きたはず。いくら大道芸人でも、口に剣をくわえて三刀流にする訳にもいかないしー」


「なにその海賊漫画」


 ララメンテ家の道場生達がコルティナに煙に巻かれている間にも、大道芸人パティは派手に勝ち進み、気が付けば決勝戦を迎えていた。


 ちなみにララメンテ家から参加した選手は、とっくに全滅している。

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