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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第八章◆◆ 大道芸人のデビューと三大令嬢決戦について
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◆182◆

 水面下で当主シェルシェのCM出演交渉が進められる一方、三家令嬢の活躍で大いに盛り上がったマントノン家の剣術全国大会は、今年も興行収入的に大成功の内に終了する。


 引き続いて開催されるレングストン家の大会での最初の見所は、「マントノン家の『大道芸人』こと三女パティがどこまでやってくれるのか」、という事に尽きた。


「パティはマントノン家の大会の優勝インタビューで、ララメンテ家に喧嘩を売った様なもんだからな」

「この大会で、ララメンテ家の選手達が全力でパティ潰しにかかってもおかしくはない」

「さて、あのふわふわ分析魔のコルティナがどういう指示を出すのか。お手並み拝見といこうぜ」


 そんな世間の人々の憶測をよそに、ララメンテ家サイドでは、


「大道芸人の言うことを真に受けちゃダメだよー。アレは大会を盛り上げる為のちょっとした演出だし、私とパティは昔から仲がいいからねー」


 噂の分析魔コルティナがふわふわとした口調で、まだあどけない小学生の選手達に、大道芸人パティの手口をバラしていた。


「それに大道芸人が人の注目を集める様な事を言うのは、何かあっと言わせる芸を見せる時だよー。くれぐれも気を付けてねー」


 そして迎えたレングストン家の大会初日、コルティナの予想通り、パティは観客をあっと言わせる事をやってのけた。


 短剣と長剣を持って、会場に現れたのである。


「二刀流かよ!」


 思わずどよめく観客達。

 

 よりによって、二刀流の代表的な使い手であるエーレが所属するレングストン家に、先の大会ではまぎれもなく一刀流だったパティが、あえてその二刀流で乗り込んで来たのだ。


「一刀流と二刀流って、普通どっちかしか使いこなせないだろ」

「ふざけてんのか、あの大道芸人。それとも、『この大会程度、お遊びの二刀流で十分だ』って舐めてんのか」

「いや、ララメンテ家の大会に備えて、データ分析を混乱させる狙いがあるのかもしれないぞ。少しやり過ぎの感があるが」


 この意外な展開に混乱する観客達をよそに、その二刀流の代表格エーレは、


「元々、マントノン家の剣術にも二刀流はあるわ。あまり使い手はいないけれど。それにあのシェルシェやミノンが、パティのおふざけを許す訳がないし、あえて二刀流で来るって事は相当自信があるって事よ、気を付けてね」


 観客席から身を乗り出し、レングストン家の選手達へ、冷静に注意を促していた。


 一方別の場所の観客席にいたコルティナは、


「うふふ、これまでのパティ対策が全部無駄になったねー」


 周囲の仲間達に他人事のようにふわふわと言ってのけ、


「いや、笑い事じゃないってば」


 当然のごとく、皆から総ツッコミを受けていた。

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