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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第八章◆◆ 大道芸人のデビューと三大令嬢決戦について
181/632

◆181◆

「小、中学生の二つの部をまたいで、三年連続大会優勝か。パティに続いて、ミノンも実によくやってくれた」


 マントノン家の屋敷の書斎で、当主シェルシェから大会の報告を聞きつつ、嬉しさを隠せない様子の祖父クペ。


「優勝以上に、レングストン家のエーレ、ララメンテ家のコルティナに、初顔合わせで勝利した事の方が重要です。もちろんあの二人の事ですから、まだまだ油断は出来ません」


 微笑みを浮かべつつも、完全に楽観はしていないシェルシェ。


「この大会で得たミノンの情報を、すぐにフィードバックして対策して来るだろうな。昨年が正にそのパターンだった」


「ええ、他家の大会での不利な状況は、今年も変わらないと思います」


「それぞれの家の選手が他家の大会で得たデータを元に対策を立て、自家の大会を他家の侵略から守り切る、そんな流れが今後も定着しそうだな。二冠、三冠といった派手な展開は、もう見られないのかもしれん」


「ふふふ、以前私が三冠を達成出来たのも、『単に時代がよかったから』、とお思いですか、おじい様?」


「いやいや、祖父バカかもしれんが、お前なら今でも三冠制覇の可能性はあると見ている。決して、エーレ、コルティナに引けは取っておらん」


 そう言ってクペは椅子に深く背をもたせかけて、天井を仰ぎ、


「ミノン、パティも才能のある子だが、お前の剣の才能は群を抜いている。もしお前が当主を継がず、あのままずっと大会に出場し続けていたら、どんなに華麗な試合を見る事が出来ただろうか、と、つい想像してしまうよ」


 祖父バカが高じて、妄想モードに突入するおじいちゃま。妄想のタイトルは「孫娘無双」で決まり。

 

「身に余るお褒めの言葉を頂き、光栄の至りです。ですが、実際に試合に出て戦えない者に、可能性云々を語る資格はありません。今の私に出来るのは、戦える者に託す事だけです」


 そんなおじいちゃまを微笑ましく見守りつつ、少し寂しげな笑みを浮かべるシェルシェ。


「ミノンとパティは、お前の目から見てどうだ? 期待に応えてくれていると思うか?」


「ふふふ、単なる強さだけでなく、人々を魅了する事においても、十分に応えてくれています。あの子達にはこの先、剣以外の分野でも活躍して欲しい事があるのですが、この分なら上手く行きそうです」


「はは、アイドルにでもするつもりか。以前、そんな話もしたな」


「ええ。手始めに私が先陣を切ります」


「何?」


「化粧品会社から私にCM出演のオファーが来ているのです。まだ非公式で、今すぐという訳ではもりませんが、『若い女性にアピールする』という、マントノン家の戦略と照らし合わせて考慮しても、いい話ではないかと思っています」


 瓢箪から駒の様な話に思わず言葉を失うクペを見ながら、シェルシェは妖しく微笑んだ。

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