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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第八章◆◆ 大道芸人のデビューと三大令嬢決戦について
178/636

◆178◆

 大暴れする巨大怪獣ミノンを、ちょい、と一突きで地に転がしてしまったふわふわお嬢様コルティナを見て、


「こりゃ、コルティナの勝ちだな。格が違う」

 

 と、観客達の大半が思ったが、ミノンはすぐに、がば、と跳ね起きて、まだ勝負はこれからとばかりに闘志を漲らせ、試合開始位置に戻った。


 既に残り時間も少なく、このままコルティナから一本も奪えなければ、ミノンの敗北が確定する。


 試合再開後、ミノンは猛攻撃の手を緩めず、何とかコルティナから一本取ろうとするが、どこからどう打っても、このふわふわなお嬢様に防御されてしまい、空しく時間だけが過ぎて行く。


 それでも、ミノンはスタミナと馬力にモノを言わせてコルティナに連打に次ぐ連打を浴びせ、


「何かコルティナが圧倒されてないか?」


 観客達の目にも、コルティナに余裕がなくなって来たのが見て取れる様になった。


 もちろんコルティナとて、日々の修練によって、そのふわふわな見かけ以上にスタミナと馬力では通常の人のそれを遥かに上回っている。


 が、ミノンはその見かけ通りの巨大怪獣であり、一分程度ならどんなに激しく動き続けても衰える事なく、最高の一打を絶え間なく繰り出す事が可能であった。


 一息入れる事すら許されず、しつこく打ちまくられてつい気が緩んだのか、残り十秒になった時、コルティナは左胴に一撃を許し、これで一本取られてしまう。


「流石のふわふわお嬢様も巨大怪獣のゴリ押しにやられたか」

「いや、これも作戦の内じゃねえのか。あれだけ技を浴びれば、データも一杯取れた事だろう」

「それに、延長戦に持ち込んだ方が、より多くのデータを取れるからな」


 ミノンの執念による一本に感心しつつも観客達は、あの策士コルティナの事だから何か企んでいるのだろう、と推測する。


 しかし、両者一本ずつ取っての試合が再開され、残り十秒を使い切って延長戦に突入するものと誰もが思った瞬間、上段から斜めに振り下ろされたミノンの剣が、鋭くコルティナの左胴を捉え、これが時間内ギリギリと判定され一本となり試合終了。


「え、これで終わり? 延長戦は?」


 予想を裏切る意外な結末に、ぽかんとしている観客達をよそに、礼を終えて防護マスクを外した両選手は抱き合い、互いの健闘を称え始めた。 


 いつもマイペースで場の空気を読まない点で、この二人は似た者同士と言える。

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