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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第八章◆◆ 大道芸人のデビューと三大令嬢決戦について
177/635

◆177◆

 試合が始まると、巨大怪獣ミノンが剣を大きく振りかぶって上段に構え、ただでさえでかい図体がより一層大きくなって威圧感を醸し出したのに対し、ふわふわなコルティナはふわふわと中段に剣を構え、相手が仕掛けて来るのをふわふわと待ち、相変わらず緊張感の欠片もない。


 ミノン対エーレの試合の様に、このまま長い睨み合いになるのかと大方の観客は予想していたが、ミノンは少し前後に軽くステップを踏んでタイミングを調整した後、素早く前に跳躍して、コルティナの頭部に鋭い一撃を決める。


 が、コルティナは、飛び込んで来たミノンの左胴へ同時にふわっと剣を打ち込み、審判はこれを相打ちと判定、双方無効とした。


「すげえなコルティナ。今、狙った様に相打ちにしたぞ」

「一本取ろうと思えば取れたんじゃねえか」

「怪獣のデータを取る為に、仕留めるのは少し遅らせようって腹か」


 観客達はこれをコルティナの余裕と見て、改めてふわふわお嬢様の技量に感心する。


「狙って相打ちに持ち込んだのは確かね。でも、ミノンは手加減出来る相手じゃないわ。コルティナだって必死よ」


 一方ミノンに敗れたエーレは、同じく既に敗退しているレングストン家の選手達に、少し違った意見を述べていた。


「叔父様は、今のコルティナさんの判断をどう見ますか?」

 

 また、観客席で見ていたパティがエフォールに尋ねると、


「冷静に対処されてしまったが、勢いはミノンが勝っている。このまま攻めて攻めて攻めまくれ!」


 エキサイトする余り、質問の答えになっているのかいないのか分からない言葉が返って来る。


 各人各様に憶測を巡らすも、コルティナが本当は何を考えているのかは誰にも分からない。皆分からないと分かっていても、つい憶測を巡らさずにはいられないのが、このふわふわお嬢様の魅力である。


 見事なボケには、反射的にツッコミを入れたくなるのと似ているかもしれない。


 だが、試合の対戦相手にしてみれば、どこに打ち込んでもふわふわと受けられてしまうコルティナに、ツッコミを入れるのは容易ではない。


 その後、猛然とラッシュを仕掛けて来るミノンに対し、最小限の動きでふわふわとコルティナが防ぎ切る展開が続いて、観客を魅了していたが、試合時間の半ば頃、上段に振りかぶって荒々しく突進して来たミノンの喉元に、コルティナが無造作に突きだした剣をクリーンヒットさせ、ついにその巨体を勢いよく転倒させてしまう。


 これによりコルティナは一本先制したが、この光景に、


「ボケとツッコミが逆転してる」


 一部の観客はそんな感想を抱いたとか抱かなかったとか。

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