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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第八章◆◆ 大道芸人のデビューと三大令嬢決戦について
166/635

◆166◆

 パティの容姿については、大会前からマスコミによって大々的に取り上げられていた為、二人の姉に似た面立ちの美少女である事も既に知れ渡っている。


 が、顔が似ていても、落ち着きのある長女シェルシェ、豪放な次女ミノンとも違う雰囲気を持っており、


「よく言えば華やか、悪く言えば派手」

「他の道場生と同じ地味な道着姿なのに、なぜかパティは華があって目立つ」

「どことなく自信満々だけど、あまり嫌味な感じはしない」


 などと、開会式の間も、観客達から品定めされていた。


 標準よりやや背が高く、細めだがバネのありそうな体格で、小麦色の光沢のある金髪を後ろで束ね、口元には余裕の笑みを浮かべており、一歩間違えば人を見下している感じになりそうな所だが、そこは上手く回避している。


 そんなパティを観客席から双眼鏡で見ていたコルティナが、


「大道芸人の営業用スマイルみたいだねー」 


 と一言で評すると、周囲の仲間達は、「あー、なるほど」、と膝を打った。


 確かにあれは、ジャグリング、パントマイム、マジックなど、日々の修練に裏付けられた見事な芸で、路上に集まった人々を魅了するパフォーマーの顔。


「本日はお集まり頂きありがとうございます。さて、これより皆さまにご覧に入れますのは、いずれもアッと驚く技の数々。どうぞ最後までとくとお楽しみあれ」


 今にも客席に向かってそんな事を言い出しそうな、人をワクワクさせる思わせぶりな笑顔なのだ。


 いよいよ第一試合が始まると、パティは開始直後に相手が剣を振り上げた一瞬を突き、その右胴に素早い一打を決めて、まず一本。


 さらに仕切り直し後に、短い睨み合いから不意に目にも止まらぬ一撃を繰り出し、相手の頭部を文句なく打ち据えて二本目を取り、早々と勝ち抜ける。


 そのスピーディーで鮮やかな勝ちっぷりに、観客も大喝采。


 こうして、長女シェルシェの「不死身で無敵な殺人鬼」、次女ミノンの「巨大怪獣」に続き、三女パティの称号は「大道芸人」で定着する事になる。


 名門の令嬢がどうのこうのという以前に、普通に女の子としてそれはどうかと思われる称号ばかりになってしまった感がなくもないが。

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