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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第八章◆◆ 大道芸人のデビューと三大令嬢決戦について
165/632

◆165◆

 例年、三家による一連の剣術全国大会は、マントノン家の小学生の部から幕を開ける。


 三年前は長女シェルシェ、二年前と一年前は次女ミノンという、いずれもマントノン家の令嬢が華々しく優勝を飾った大会であり、その流れもあって、今年会場を埋め尽くす観客のほとんどが、大会初出場となる三女パティの腕前やいかに、とそれだけを確かめる為に来ていたと言っても過言ではない。


「パティは小さい頃から知っているけれど、剣の力量がどれ程かは知らないわ。噂ではかなり強いらしいけれど。この大会に限って言えば、データが知られていない分だけ有利な初舞台になるでしょうね」


 レングストン家の道場生達と一緒に観戦に来ていたエーレが言う。


「となると、データ分析がお家芸のララメンテ家は、今大会はパティの情報収集と割り切って、全力では来ないだろうな。最後に自分の大会で仕留めさえすればいい、と考えて」


 横に座るティーフが頷いて言う。


 昔から仲の良いこの二人、共に中学三年生だが、巨大怪獣ミノン程ではないにせよ、育ち盛りで一段と大きくなったティーフが大人に見えるのに対し、育ち盛りなにそれおいしいの的なエーレは、相変わらず小学生にしか見えない。


 エーレにとって背が伸びないのは悩みの種だが、エーレを取り巻く仲間達にとっては、ちっちゃくて可愛いものがちっちゃくて可愛いままでいる事に何も不満はなかった。もちろん本人に言うと怒られるので、口には出さないが。


 一方、別の場所で観戦していた当のララメンテ家のコルティナは、一緒に来ていた道場生達に、


「パティがここで頑張ってくれないと、せっかく大きな会場を押さえたウチの小学生の部の大会が大ゴケに終わるからねー」


 相変わらず商売っ気を出していた。


「でもウチも今回主力選手を投入したし、パティを倒した子には例の懸賞を出すんでしょ?」


 パティの活躍を期待する一方、全力でパティを倒しに行くという、コルティナの相反する方針に道場生の一人が疑問を投げかける。例の懸賞とは、もちろん高級ホテルの極上スイーツ食べ放題の事である。


「パティの全力を引き出すには、こちらも全力で行く必要があるからねー。何と言ってもあのシェルシェとミノンの妹だし、そう簡単にはやられないよー」


 データ収集に余念のない分析魔ことコルティナだが、


「でも、もしうっかりパティを倒しちゃったら、その選手には責任を持って三冠を狙ってもらうしかないかなー」


 冗談とも本気ともつかぬそのふわふわっぷりに、周囲もどう反応していいか分らなくなる事が多い。

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