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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について
159/635

◆159◆

 その年の三つの剣術全国大会の状況を概観すれば、「観客は増えたが、話題性は減った」、の一言に尽きた。


 三家がそれぞれ守りを固くして外部からの侵攻を防ぎ、大会優勝者が内部の選手で占められるという、かつての地味な状態に戻ったのである。


 小学生の部では、巨大怪獣ことミノンがマントノン家で優勝したものの、レングストン家の決勝で敗れて早々と三冠の可能性を潰し、さらにララメンテ家での決勝でも敗れてしまい、二冠すら達成出来ずに終わった。


 中学生の部では、ツンデレ二刀流のエーレがマントノン家の準決勝で敗退。ふわふわ分析魔のコルティナも中盤で消えたが、これは後々の本土防衛戦の為の布石ではなかったかとの見方が強い。


 続くレングストン家の大会では、エーレが決勝でコルティナを破って優勝し、ララメンテ家の大会では逆に、コルティナがエーレを決勝で破って優勝する。


 昨年の大会を大いに沸かせた、ミノン、エーレ、コルティナというスター選手の活躍目当てで、観客は増加したが、今回この三人がいずれも他家の大会で優勝する事もなく、分かり易く盛り上がるツボを外した展開に終わった為、


「去年までの方が面白かったな」

「特に強豪選手への対策が強化されたのか、派手な技が今一つ決まらない」

「でも、やっぱりあの三人は観てて面白いよ。会場に足を運んだ分は楽しめた」


 観客達も、「普通に良かった」、という感想が一番多かった。


 高校生の部、一般の部はほぼ例年通りで、「あまり華はなくともいい試合が見れればいい」、という観客が微増した他は、特にこれと言って変化はない。


「ふふふ、今年の一連の大会も無事終了しましたが、商業的にはもちろん三家共大成功です」


 全ての剣術全国大会が終わり、シェルシェがエーレとコルティナから仕入れた内部情報を元に、書斎で祖父クペに報告する。


「外部の選手に優勝を許さなかったのは良かったが、外部でミノンが一つも優勝出来なかったのは残念だ」


 贅沢な悩みを口にするおじいちゃま。


「レングストン家もララメンテ家も、今頃同じ事を考えてますよ。今年はまさに勢力拮抗、興行的には面白みがなく、このままでは来年の大会にも、観客動員数の減少という形で悪影響が出る所でしょうが――」


「来年はミノンが中学一年生、エーレとコルティナが三年生となり、三年ぶりの三家令嬢による三つ巴対決が実現するから、今年以上に盛り上がるだろう。まったく上手く出来ているものだ」


「加えて、小学生の部ではパティが大会デビューします。ふふふ、あの子には一体どんな称号が付けられるのか楽しみです」


 長女シェルシェが「不死身で無敵な殺人鬼」で、次女ミノンが「巨大怪獣」。


 と、なれば三女パティの候補としては、「宇宙人」、「ロボット」、「マッドサイエンティスト」、「超能力者」、「亡霊」、「UMA」、「ゾンビ」、「大災害」などが考えられるが、いずれも年頃の女の子にとって不名誉な称号である事は間違いない。

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