表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について
148/635

◆148◆

「おじい様、この様なおめでたい日に涙は似合いません。どうか笑顔で祝賀会へお越しください」


 そう言って、祖父クペの背中にそっと手を置くシェルシェ。


「ああ、だが私に果たして笑う資格があるかどうか」


 当初息子の再婚に強硬に反対していた事を思い出したのか、少しクペは弱気になっていた。


「あるに決まっています。結局はおじい様も、お父様達の結婚に賛成された事で、今日のこの日があるのですから」


「私の間違いを正して、賛成させたのはお前だがな、シェルシェ」


「ふふふ、意地を張って自分の意見を無理に通そうとせず、改めるべきをすぐに改める事が出来る人を賢者と言うのです。賢者であるおじい様なら、私の言葉をきっと聞き入れてくださると信じていました」


 その割には、賛成しなかった場合、私を山奥の別荘に監禁するとか言ってなかったか。


 そんな野暮な言葉を呑み込んで、


「お前には敵わんよ」


 そう言ってクペはゆっくり立ち上がり、シェルシェに腕を取られて導かれる様にして、共に微笑ましく祝賀会会場へ向かう。


 なぜか孫娘に連行されている様な気もしないではなかったが。


「出産直後は何かと大変です。私達親族は、ビーネお義母様と赤ちゃんが落ち着いてから病院に行きましょう。その際にはお義母様の負担にならない様、面会は短めに済ます様に心掛けてください」


 意気揚々と長い廊下を歩きながら、今後の予定について仕切るシェルシェ。


「ところで、おばあ様は一緒ではなかったのですか?」


「着信音が鳴るか鳴らぬかの内に早押しクイズのごとく携帯を真っ先に取って、スピエレから報告を聞いた後、大喜びで大広間にすっ飛んで行ったよ。祝賀会の準備を仕切る為にな」


 こういう所は、シェルシェは祖母に似たのかもしれない。


 そんな風に、しみじみ思うおじいちゃまだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ