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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について
145/632

◆145◆

 試合後はいつも、勝っても負けてもいい感じで熱血スポ根なノリのレングストン家の道場生達も、今回は序盤で隙を突かれてほぼ全員があっけなくやられてしまった事もあり、


「コルティナさんのを恐ろしさを身を以て知った」


 などと、悔しさより敵将に対する畏敬の念が勝って、ただただ呆然とする他なかった。


 一人、コルティナの仕掛けた罠をくぐりぬけ、敵本陣まで斬り込んだエーレも、


「完敗ね。分析魔の面目躍如と言った所かしら」


 最後の最後で惜敗した割には清々しい表情で、


「今日の所は素直に敗北を認めましょう。ミーティングで今回の問題点を洗い出せば、何かいい対策が浮かぶかもしれないわ」


 気持ちを切り替えて道場へ戻る様、皆を促した。


「でも、エーレは本当に惜しかったよね」

 

 ぽん、と肩を叩く道場生。


「あの突きをかわしていたら、絶対勝ってたよ」


 ぱんぱん、と背中を軽く叩く道場生。


「エーレはコルティナに負けてない。何しろウチのマスコット、じゃなくて実力派剣士だし」


 よしよし、と頭をなでる道場生。


「可愛さならエーレの方が上」


 つんつん、と頬を突っつく道場生。


「ウチの子が一番可愛い」


 ぺろん、と尻をなでる道場生。


「どさくさにまぎれて何するのよ!」


 エーレがあわてて尻を押さえつつ抗議するも、気が付けば既に皆のスイッチが入ってしまった様である。


 女子学生の集団に見つかった子猫状態のエーレが、過激なスキンシップの嵐に包まれ、


「この人達痴漢です!」


 と叫ぶ余裕もないままもみくちゃにされるのは、皆から愛されている証拠だった。


 その卓越した技量故に敬意を払われる人が、一方ではその愛らしさ故に敬意を取っ払われるのも、世間ではよくある事である。


 そういう人が大スターとか呼ばれ、やはり暴徒と化したファンにもみくちゃにされたりする。

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