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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について
138/636

◆138◆

 エーレの三大会制覇が成るかどうかが今大会における観客達の最大の関心事だが、大会そのものの全体図としてはララメンテ家の本土防衛戦であり、攻め寄せるマントノン家とレングストン家の精鋭達を相手に、いかに耐え抜いて本陣を守りきるかが重要な点であった。


 よって敵はエーレだけではなく、話題性と知名度はなくとも地味に強い選手達も多数参加している為、防衛に際してララメンテ家はさぞ苦戦を強いられるかと思われたものの、蓋を開けて見れば、コルティナの分析を基にした対策が功を奏し、序盤でほぼ他家の選手達が一掃されるという驚愕の展開となる。ララメンテ家の圧勝と言ってもいい。


「どういう事だよ。マントノン家の大会準優勝者も、レングストン家の大会準優勝者も、初戦で敗退したぞ」

「ララメンテ家の選手はこんなに強いのに、なんで前の二大会ではパッとしなかったんだ?」

「データの蓄積に徹してたんだろ。この日の為に。無論、それだけで勝てる相手じゃないが」


 ざわめく観客達の眼前で、マントノン家の選手は早々と姿を消してしまい、レングストン家の選手も残るはエーレだけ、という状況になるまでにさして時間は掛からなかった。


 これにより、中盤以降は完全に、コルティナ率いるララメンテ家軍団対ちっちゃなエーレただ一人、という構図となる。


 狙うはエーレの首一つ。しかも賞金首である。もちろん賞金は、例によって『高級ホテルの極上スイーツ食べ放題』。


 しかし、二冠まで制したエーレは他の選手達と異なり、たとえ分析されたところで、おいそれと勝てる相手ではない。


 挙動を見切ってのカウンター狙いで待ち構えるララメンテ家の選手達に対し、付け焼刃の罠など長年に亘る修練の前には無意味とばかり、待ち構えさせたまま速攻で一本を取るのもお手の物。


 生半可な対策は無効と悟り、粘って体力を消耗させ次の選手に託す戦法に切り替えても、複雑な軌道を描いて執拗に迫る二刀流がそれを許さない。


 観客達もその攻防自在の巧みな二刀さばきに魅了されて、やんやとエーレに喝采を送る。


 一方、ララメンテ家のラスボスことコルティナもふわふわと勝ち上がっており、そのやる気があるんだかないんだか、棒立ちに突っ立って最小限の動きで軽く相手を制する姿もまた、観客達を沸かせていた。


 さらにその予知能力に近い分析眼の鋭さは、コルティナ個人に留まらず、ララメンテ家の選手一人一人に強力な武器を与えている事は、序盤の大戦果からも明らかであり、

 

「あのふわふわは、ただのふわふわではなく、恐るべきふわふわだ」


 ふわふわのゲシュタルト崩壊に拍車を掛けていた。

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