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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について
134/635

◆134◆

 自分を子犬扱いしたコルティナに一しきり吠えてから、エーレが飼い主、もといレングストン家の道場生達がいる場所に戻ってみると、紛れもなく本日の殊勲賞であるキルヒェが、本日一番喜怒哀楽が激しかったティーフに泣き付かれていた。


「キルヒェはよくやったよ。うん、本当によくやったよ……」


 同じ事を延々と繰り返し言い続けるティーフ。多分将来泣き上戸になるに違いない。


「ほら、ティーフ、もうその位にしなさいよ」


 エーレがティーフの肩をぽんぽんと叩き、困った様な笑顔を浮かべているキルヒェから離れるように促している様子は、本物の酔っ払いを宥めている場面にそっくりである。


「すみません。後一歩と言う所で優勝を逃してしまいました」


 巨大怪獣ミノン程ではないが、割と大柄なキルヒェがちっちゃなエーレを見下ろしながら謝った。


「優勝より難しい打倒ミノンを果たしたんだから、謝る必要なんてないわ。誇れる位よ」


「ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉」


 最後まで言えずに言葉が詰まってしまい、そのままうつむいて涙を流し始めるキルヒェ。


 そんなキルヒェを慰める様にその腕をぽんぽんと叩くエーレ。


 その姿が飼い主を慰めようと前足で引っかく犬に似ている、とレングストン家の道場生達は、言葉にこそしないが心の中でつい思ってしまう。


 そんな失礼な目で見られているとも知らずに、エーレは皆に向かって、


「さ、そろそろ道場に戻るわよ。今大会の反省点はミーティングで存分に語り合いましょう」

 

 と、帰還する様に告げた。


 先に立って歩くちっちゃなエーレを見ながら、後からぞろぞろ付いて行くレングストン家の道場生達は、


「なんだか子犬に先導されてる気分で和むわぁ」


 と今大会とは何も関係ないことを考えて、ほのぼのとした気分になるのだった。

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