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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について
127/635

◆127◆

 準決勝でマントノン家とレングストン家の選手の対戦が実現し、しかもそれが先日行われたレングストン家の大会決勝の再現、即ちミノン対キルヒェの戦いになった事も加わって、大会会場は大いに盛り上がる。


 マントノン家の巨大怪獣が再び勝つか、一度倒されてまた這い上がって来たレングストン家の生存兵がリベンジを果たすか。


 しかしながら、ララメンテ家の大会なのにララメンテ家以外の要素で盛り上がっている事にララメンテ家の選手や関係者達は一向にそれを気にする様子がない。流石、あの令嬢にしてこの道場ありである。


 様々な思惑が錯綜する中、いよいよ試合が始まり、ミノンとキルヒェは共に剣を中段に構えてしばし睨み合う。


 と、両者ほぼ同時に互いの頭部を狙って前に飛び出し、決定打のないまま素早く剣を二、三度交えて鍔迫り合いとなり、ゆっくり離れた次の瞬間、激しい乱打戦に突入した。


 結局、お互いに一本取る事は出来ず、キルヒェは素早く後退してミノンとの間合いを取ろうとし、上段に振りかぶったミノンが逃がさじとばかりにこれを追う。


 不意にキルヒェは後退を止めて、一歩前に踏み出し、ミノンの右胴を狙って鋭い一打を浴びせたものの、ミノンは突進しながらこれを剣で巧みに受け、勢い余ってキルヒェと激しくぶつかった。


 が、キルヒェは二、三歩後退しただけで、この巨大怪獣の突進を受け止め、思わず観客が驚きの声を上げたのも束の間、鍔迫り合いになった一瞬の後、至近距離からミノンの構えた剣を乗り越える様に放たれた一打が、ミノンの頭部にきれいに決まる。


 これによりキルヒェが一本先制。


「やった! あと一本!」


 キルヒェへの感情移入が極まって、もはや魂が乗り移っているレベルのティーフが、物凄い勢いで観客席から立ち上がって叫ぶのを、


「落ち着いて。難しいのはここからよ」

 

 と隣で諌めつつも、思わず笑みがこぼれるレングストン家の令嬢エーレ。


 一方、ララメンテ家の令嬢コルティナは別の観客席から、双眼鏡でミノンの表情を観測し、


「怪獣さん、嬉しそうに笑ってるよー。殺人鬼さんとは少し違う笑い方だけど、好敵手に会えてすごく喜んでるみたい」


 と、周りにいる仲間達に、ふわふわとした口調で解説した。


 言うまでもないが、「殺人鬼」とはミノンの姉シェルシェにコルティナが勝手に付けた称号である。念の為。

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