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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について
120/635

◆120◆

 大会終了後、見事二冠を達成したエーレは、会場の外でレングストン家の道場生達に、ここぞとばかりにもみくちゃにされていた。


「おめでとー!」

「よくやったねー!」

「感動したよ!」

「ウチの道場の誇り!

「ちっちゃいのにえらい!」

「かわいー!」

「お肌ぷにぷにー!」

「どれどれ、こっちの方は成長したかなー?」


「誰よ、どさくさに紛れて胸もんだのは!」


 そんな抗議も虚しく、多勢に無勢で抵抗出来ないまま体中をべたべた触られ、そのまま胴上げに移行し、何度も何度も宙高く舞い上がるちっちゃなエーレ。


 ようやく下に降ろされると、ララメンテ家の大会に出場する予定の小学生達が、エーレの試合を目の当たりにして興奮冷めやらぬ様子で、


「私達も頑張ります!」


 と、力強く宣言し、


「その意気よ!」


 エーレもその闘志を鼓舞する。


「はい!」


 元気よく返事した後、エーレを取り巻いて再びもみくちゃにする小学生達。皆、エーレに触るとご利益があると勘違いしているのかもしれない。もしくは犬猫をモフる感覚か。


 そんな風にエーレが集団痴漢に遭っていた時、ララメンテ家の道場生達は例によって、近くにある評判のスイーツ店で、残念会と称するお茶会を開いていた。


「これで、マントノン家のミノンと、レングストン家のエーレが二冠を達成した訳だけど、ウチの大会では、頑張って三冠を阻止しようねー」


 コルティナが、狸の形をしたチョコレートケーキを前にして、ふわふわとした口調で言う。


「あの二人に勝てると思う?」


 道場生の一人が、ストロベリーパフェを食べる手を休めて尋ねる。


「ミノンはレングストン家の子達に任せてもいいしー」


 コルティナは狸ケーキの頭をスプーンですくい取り、


「エーレは今日の試合で大体分かったから、何とかなるんじゃないかなー」


 そう言って、一口で美味しそうにぱくりと食べてしまった。

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