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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について
113/635

◆113◆

 ホラー映画のカリスマ殺人鬼の魅力が「惨殺」にあるとすれば、怪獣映画のカリスマ巨大怪獣の魅力は「破壊」にあるのではないだろうか。


 巨大怪獣は、人間からすれば圧倒される程の巨大かつ堅牢な人工建造物でも、易々となぎ倒し、踏み潰し、一顧だにせず突き進み、現代科学の粋を集めた数々の最新兵器からの攻撃にもビクともせず、逆に腕の一振り足の一踏みで、いとも簡単にそれらを撃滅してしまう。


 小賢しい人智の結晶を、笑止千万と嘲笑うかの如く破壊するその姿には、ある種の神々しさすら感じられる。


 リア充共を惨殺しまくるカリスマ殺人鬼の爽快感に対し、見慣れた日常風景を破壊し尽くすカリスマ巨大怪獣の爽快感は、子供でも容易に受け入れられる類のものであり、実際ホラー映画を怖がる子供も、怪獣映画は喜んで見ていたりする。むしろ子供の方がメインターゲットである。


 そんな訳で試合が始まるや、巨大怪獣ことミノンの豪快な戦い振りに、観客は熱狂した。


 姉シェルシェの様な華麗さや優雅さに欠け、力強くはあるがやや大雑把で、まだまだ不安定な要素を抱えていたが、そこがまた魅力であり不思議と人を惹き付けるミノンは、期待に違わず次々と試合を勝ち進んで行く。


 観客は大満足だが、レングストン家の選手側にしてみれば、たまったものではない。


「第二防衛ライン突破されました! 怪獣はそのまま作戦本部を目指して近付いています!」


 などと映画内で焦りつつ叫ぶ、兵士そのままの気持ちであろう。


 一人また一人と、決死の覚悟でミノンに果敢に挑んでは倒されて行くレングストン家の選手達の中にあって、ララメンテ家の選手達は、ミノンと当たる事があっても妙に落ち着いており、相手の攻撃に合わせてカウンターを狙う戦法に終始している印象があった。


「コルティナの指示ね。ウチの大会をミノン対策の練習に使うつもりだわ」


 観客席から試合を双眼鏡で見守るエーレは、周りにいる仲間達にそう告げた。


 一方別の観客席から双眼鏡で試合を見ていたコルティナは、


「ミノンを倒した人は、高級ホテルの極上スイーツ食べ放題だからねー。皆頑張って」


 去年とやっている事がまるで変わっていなかった。

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