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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について
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◆108◆

「しかし、そう上手く行くかな。個人の小さな町道場が、経営方針を変更するのとは訳が違う。女性向けの宣伝に力を入れる余り、『マントノン家は、婦女子に媚びて武芸の精神を失い、惰弱化した』、などと非難される恐れもある。いや、確実に非難されるだろう」


 少し考えた後で、前々当主クぺが意見を述べた。


「非難したい人達には、非難させておきましょう。却って話題になるというものです。実際には全体を弱めるのでなく、ライト層を拡充しようというだけの話ですから、これまで通り『強さ』を求める道場生には何の影響もありません。そういった本質的な事でなく、単にイメージ戦略の話にしても」


 現当主シェルシェはにっこりと笑い、


「『強く、なおかつ美しく』のイメージを体現出来る女剣士が、ウチにはいますし」


 と、自信を持って言いきった。


 クぺは軽く笑って、


「自画自賛か。しかし、祖父バカと言われようとも、それについて異論はない。なるほど、イメージ戦略は完璧だ」


 目の前の孫娘を、愛おしそうに眺めて言う。


「ふふふ、たとえ自画自賛になろうとも、使えるものは過小評価せずに使い倒します。亡きユティルお母様から与えられたこの顔立ちは、紛れもなくマントノン家にとって有力な武器の一つです。同じ顔立ちを与えられたミノン、パティと共に、今後十分に活用しなければなりません」


「差し詰め、『マントノン家の美人三姉妹剣士』だな」


「分かり易くてインパクトのあるイメージは、宣伝に打ってつけですね。残念ながら、私は現役を退いてしまいましたが、二人の現役の妹達には、剣術の方でも全力で頑張ってもらいます。ミノンはまだ粗削りながら、大会優勝を果たしてくれましたし、パティについても大会デビューに向けて、指導に力を入れて行く予定です」


「何かアイドルでも育成している様な話だな。しかし、確かにお前達三人なら、剣術抜きでも十分アイドルとしてやっていけるだろう」


 孫娘可愛さの余り、おじいちゃまの祖父バカが暴走する。


「ふふふ、流石にアイドルとして食べていけるだけの自信はありませんが、マントノン家の為ならば、アイドル活動も辞さない覚悟です」


 おじいちゃまに負けず劣らず、孫娘も別の意味で暴走気味である。

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