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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について
104/635

◆104◆

 会場内にいた人々は観客、選手、スタッフ、記者を問わず、すっかりこのマントノン家の美少女当主シェルシェ・マントノンに魅了されてしまっていた。


 もうこれは記者会見というより、シェルシェのトークショーである。


 聴衆は、切々と訴えるシェルシェの言葉に耳を傾けている内に、半ば洗脳されてしまい、まるで自分が「十三歳の美少女が主人公の細腕商売繁盛記」のドラマを見ている様な錯覚に陥ってしまっていた。差し詰め今は、中盤辺りのヤマ場で、「悪い使用人達が、受けた恩義を忘れてこぞって独立してしまい、女将大ピンチ」の回であろう。


 実際は、「外見は十三歳の美少女にしか見えない魔物が、欲に目のくらんだ人間を破滅させる」ホラーに近く、今は「魔物の仕掛けた罠に嵌められてしまったのに、愚かな人間達は何も気付かない」の回なのだが。


 ともあれ、その後もシェルシェは記者団からの質疑応答をそつなくこなし、会見が無事終了すると、突然のボイコット騒ぎで今一つだった大会の試合内容に、肩透かしをくらった気分になっていた観客達も、


「こんな大事件が起こるとは思わなかったけど、そのおかげでいいモノが見られた」

「あのシェルシェって子は、まだ中学一年生なのに立派なもんだ。流石名門のご令嬢だけの事はある」

「それにしても、大会をボイコットした奴らは許せん。試合を楽しみにしていた観客の事なんか、何とも思っちゃいねえんだろなあ」

「ちょっとばかし人気があるからって、天狗になっちまったんだろ。そんな奴らの立ち上げた道場なんてさっさと潰れてしまえ」


 このトークショーに生で立ち合えた事には十分満足した様子であり、さらに知らず知らずの内に、不満の矛先を離脱した者達へロックオンする様に誘導されてしまっていた。


「シェルシェは集団催眠の名手だねー。やっぱり末恐ろしい当主だよ」


 もちろん、シェルシェの真意を見抜いているコルティナは例外であったが。


「通販番組の司会者をやったら大儲けできるんじゃないかなー」


 そしてこちらのご令嬢は、相変わらず何を考えているのか分からないままであったが。

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