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逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第七章◆◆ 女当主に造反を企てた者達の哀れな末路について
102/635

◆102◆

 人気のある強豪選手不在で盛り上がりに欠けたまま、大会は全ての試合を終えたものの、ほとんどの観客は席を立とうとはせず、逆に異常なまでの関心を抱いて、次に起こる事を待ち受けていた。


 主催者席が会場中央に移動され、そこに当主シェルシェを中心として役員達が両側に並んで座り、その前方やや距離をおいた場所に並べられたパイプ椅子に、来場していた記者達が座ると、

 

「それではこれより、本日、一部の選手達が大会をボイコットし、マントノン家の道場から脱退する旨を、別の場所で表明していた件について、ご説明させて頂きます」


 マイクを手にしたシェルシェが、記者会見を開始した。


 まず、これまでに起きた事を、簡潔にまとめて話した後、


「私共も突然の事態に、正直戸惑っています。脱退を表明したのは、皆様ご存じの様に、マントノン家の道場きっての人気剣士達であり、彼らに去られれば、私共の組織全体にとって大きな損失となる事は間違いありません。おそらく彼らに何らかの誤解があったものと思われますが、これからそれを早急に解消し、脱退を思いとどまる様、説得を試みる方針です」


 と、思っているのと正反対の事を、表向きはあくまでも真摯な態度で述べる。


 そのシェルシェの表情を、観客席から双眼鏡で観察していたコルティナは、


「今の言葉の逆が、シェルシェの本音だよー。『彼らの動きは全て把握していました。意外な事など何一つありません。自惚れのぼせて反逆に至った恩知らずで考えなしの輩共が、自発的にマントノン家から消えてくれるのは、むしろ大歓迎です。言う事を聞かないのを分かりきった上で、一応引き留める振りをしつつ、全力で追い出しに掛かります』、って所かな」


 その真意を見事に喝破していた。


 魔物は魔物を知る。

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