第1話 経緯(プロローグに代えて)
第1話 経緯
ここ何作か小説仕立てによって自分の思いというものを表現したいと思ったが、見事に文才のなさを露呈するにとどめ、ならば素直にぶちあたってやろうではないかということでこの書き物となった次第である。
書きたいことは、科学にとどまらず人類の知識とは、この世界においてどのような立ち位置を持っているのかということなのだが、これは吟味するまでもなく、それぞれの主観に委ねられることは当然のことのようである。
各分野に学者さんなどの専門、いわゆるプロフェッショナルもいれば市井の研究者もいる。それぞれの人々が何かを望んで研究などにのぞんでいることは、人の持つ知識欲が源となっているように思われる。もちろん、付随してくる地位や金銭を望む人も多いのだろうが、このことは、わたしに一切の害を与えないことははっきりとしている。
わたしの考え方に「偉い人がいかに大儲けしようと、身近な人が成功を掴もうとわたしに危害が加えられなければ無関係である」というものがある。間接的に害が及んでいたとしても気が付かなければ、あるいは被害の程度が少なければ無関係とおなじことである。その人たちの行為が犯罪性を持っていたとしても同じように無関係と判断をくだすかもしれない。
つまり、わたしは高潔な人間ではないということになる。
そこで、最近とはいっても9年も遡ってしまうのだが、「非常に大きな害を被った」と思う出来事があったことを述べたい。被害を受けたのだから加害者がいてもよさそうなものだが、この出来事に加害者は存在しないことをわたしはよく理解している。そこで、簡単に経緯を述べておきたいと思う。尚、以下の内容は恨みつらみではなく、これからのわたしの人生を何に費やすかのきっかけになるかもしれないという程度のものである。
9年前:アルコール依存症と診断される。わたし本人は体調的にも精神的にも数年前から異常を感じていたから、ようやくその原因がわかったと半分は喜びであった。もちろん、半分は病名に対するショックであったが。
7年前:「偉大なる功績は狂気からしか生まれない」というほとんど病的な発想に取りつかれ、再飲酒=再入院となる。実は、この発想は半分くらい正しかったことが最近になってわかったような気がしている。というのは、この再入院の前に数学の未解決問題である「巡回セールスマン問題」の厳密解のアルゴリズムを発見していた。しかし、この発想が命がけであったことは確かなようである。以来、現在までお酒は一滴も体内に入っていない。
4年前:歩行困難(平坦なところで転ぶなど足腰が不自由)になってしまった。そのため、障がい者施設へと転職することになった。
2年前:ほとんど毎日のように、身体がつる(こむらがえりなど)ようになってしまった。両手、両足、腹筋、脇腹など全身がつる痛みはもう思い出したくもない経験である。おおよそ10~15分くらいで元に戻ったと思うが、痛い時間はその何倍も長く感じたように記憶している。
1年前:精神科に通院していたが、そこからの紹介で神経内科も受診するようになった。そこで出された薬が見事につる症状を抑えてくれた。有り難かったですね~。しかし、つる原因は相変わらず不明。わたしは痛くなければそれでいいから原因の追究は頭から消えていた。
数か月前:つる症状が再燃。医大でこれでもかと精密検査を受ける。しかし、全くの健康体であることが判明。さて、どうしたものかと悩み始める。「つる姿勢をとらないことが、唯一の対症療法である」と医大の医者が言っていたが、それがわかれば悩みはしないと心の中で反発を覚える。何日かして「つる姿勢をとってやろうじゃないか」と無理な姿勢をとるも再現せず、悩みは深くなるばかりであった。
何故悩むかというとつると仕事にならず休暇となり生活できなくなるからである。わたし程度では障がい者年金の受給もできず、自称「中途半端な障がい者」となっていた。その日は古巣の精神科の通院日だったが、相談しても解決しないことはわかっていたので、とりあえず不眠症だけでも緩和しておこうと眠剤を1か月分所望した。すると、9年間服用していた薬は出せなくなると言われたが、「それでいいです」とどうでもいい気分で薬を変えてしまった。主治医もわたしの症状の原因がわからないから、薬の種類の選択はわたしの勝手にさせたのかもしれない。眠剤と弱い精神安定剤をもらい帰途についた。
弱い精神安定剤は今まで効果を発揮したことがないから気休めだと思っていたら、数日したらてきめんに効いていた。それまで、布団に入ってもじっとしていることができず、起きてパソコンの前に向かい、眠くなると布団に入って、起きての繰り返しで寝付けるときは朝の5時か6時だったのが、3時に寝付けるようになり、1時、12時となっていった。
それから1週間くらいすると、両手、両足がつっぱる感覚がなくなり普通の腰痛や肩こりに変わっていった。この頃から9年間のみ続けたあの薬が原因で、全身がつるという症状が起こっていたのではないかと考えるようになった。まだ、半年や1年の経過観察は必要と思われるが、あの薬は絶対に服用しないと心に決めた。
と、わたしの身体に被害はあったが、加害者は見当たらない。医者を加害者に仕立てるのは無理のようである。医者はわたしの病気に対しマニュアル通りに投薬しただけなのだから。
心身共に落ち着いた現在のわたしの悩みは、やる気がでないことである。それでも、「巡回セールスマン問題」の厳密解のアルゴリズムは不整合はないだろうが、それほど早く計算できるのだろうかという問題の入り口に立つことはできたと思う。
ところが、この問題に取り組めばよさそうなものなのに人の身体の構成の方に興味がよってしまった。知らないことが頭の中をいくつもかけ巡り、ざっと列挙しただけでも次の項目が巡っている。
・薬(特に精神薬)の働きはどうなっているの?
・細胞とタンパク質の位置関係はどうなっているの?
・タンパク質以外の物質(分泌物など)はどうやって作られるの?
確かにたんぱく質の1次構造と 巡回セールスマン問題は関係があると思っていたが、まさかこんな形でアプローチとなるとは思わなかった。
しかし、問題はわたしの取り組みへのやる気のなさのようである。幼いときから考えているときが好きだったのだが、結果を出す前に放り出してしまうことも多く、やる気のなさと同時に解決できないものかとこの文章を書いて見たが、さてどうなることやら。