僕を捨てた
バキッ!
通っている中学のグラウンドに鈍い音が響き渡った。
「う…」
僕がうめき声をあげると奴等は狂ったように笑う。
「ギャハハハ!!なんだその気持ち悪いうめき声」
「マジ笑える」
「じゃあ次はオレが殴るわ」
「とりあえず今オレがトップだよな」
奴等は僕を殴った時のうめき声の大きさでどうやら勝負をしてるらしい。
もう4人に殴られたから、後2人の打撃を堪えればこの苦しみから解放される。
やり返そうとは思わない。
後でボコボコにされるのが落ちだから。
「いくぞ〜…ロケットパンチ!!」
ドスッ!
5人目の打撃が腹に入った。
激痛がはしる。
しかし腹はやっかいだ。痛みが長い。
「…」
声が出ないほどの痛み。僕はその場でダンゴムシみたいに転がった。
「なんだよコイツ!声でてねぇし!」
5人目が納得いかなそうに叫んでる。「腹はダメだろ。いいか?このゲームにはコツってのがあるんだよ」
六人目が自信満々の表情で言うと
吸っていたタバコを
うずくまっていた僕の右手の甲に押し当てた。
ジュッ…
想像を絶する痛みに
僕は喉が張り裂けるような声を出した。
いや勝手に出てしまった。
奴等が帰ってから
2時間ぐらいたったと思う。
もう日は暮れてる。
けど何だか動く気がしなくて
そのままグラウンドの真ん中で寝転がってた。
僕が大嫌いだった。
弱くて根性のない僕が大嫌いだった。
右手の甲に残った
キズを見つめて
変わってやるって思った。
中学3年の3学期
僕は
「オレ」になった