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アルタジア  作者: 桜花シキ
第2章 大国レティシア
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迷子?

 シルゼンとグレンの戦闘の後、アストルたちは古の大陸にあるという古代文明マクエラに向けて出発する準備を急いでいた。


「アラン様はいらっしゃいますか?」


 突然、そこへ兵士がやってきた。


「どうした?」


「それが、少女がひとり城門の前にきておりまして……」


「少女?」


 アランは訝しげな表情を浮かべた。


「その少女は、なぜ城に?」


 すると、兵士は困った顔をして答えた。


「それが……迷子、だとか……。追い返そうにも動こうとしませんし……」


「迷子?……分かった、私も行こう」


 アランは、兵士と一緒に部屋を出て行った。

 アストルたちは一度手を止め、互いに顔を見合わせる。


「迷子って……城にくるものなのか?」


「さぁ……」


「俺も初めて聞くがな」




──最低限の荷造りが終わったところで、アランが戻ってきた。その後ろに少女を引き連れて。


 少女とはいうものの、幼子というわけではなかった。さほどアストルやクローリアと変わらないくらいに見える。


 これで…迷子?

 いささか、疑問に思った。


 少女はアストルに気がつくと、にっこりと微笑んだ。

 アストルは、どきりとした。

 初対面の少女が、まるで自分のことを知っているかのような態度をとったからだ。まぁ、素直にかわいかったからかもしれないが……。


──いや、本当に初対面だっただろうか?


 なぜか、その栗色の髪を結わえた、白いワンピース姿の少女を見たとき思った。


 懐かしい──って



「アストル君、彼女、君に会いたいと言ってきたんだが、知り合いかな?」


 アストルは首を横に振った。

 俺に、会いに来た?


「やはり、知らないか……悪いけど話は別な部屋で聞こう」


 連れて行こうと兵士がつかんだ手を少女は振り払う。そして、アストルに駆け寄った。


「私も一緒に連れてって!」


──は?


「私、リエルナ=ミュレット=あ──なたは、アストル?」


リエルナ=ミュレット (17)


 断固として、アストルに話を聞いてもらえなければ動かないというので、仕方なく椅子に座らせた。


「そうだけど……何で、俺に会いに?」


 リエルナと名乗った少女は、まつげの長い目をぱちぱちしながら話し出した。


「えっと……あなたを探しにきたの。それで、迷子になって……あなたを見つけたの」


 言葉が変だ。慣れていないというか、どこかぎこちない。遠いところからきたのだろうか?


 何にせよ、理由が分からない。


「それじゃ、答えになってないんだけどな……」


 少女は、うーんと唸りながら言葉を探している。



「……今は、言えないの」


 ぽつり、と少女は言った。


「言えないって……それじゃあ、俺も連れていけないよ。まぁ、言ったとしても女の子連れていける場所じゃないし……それに、俺追われてるんだぜ?」


「大丈夫なの!私は戦えないけど、守ったり、治したりできるの!」


 シルゼンは、それを聞いて尋ねた。


「治す……と言ったな?それは、怪我をということか?」


 リエルナは頷く。


「俺も長く軍人をやってきたが、怪我を治す力というのは聞いたことがない。理論上はできるとも言われているが、神石の莫大な魔力と生まれ持っての適性が必要らしい。……それが、できると?」


「できるの!だから、私役に立つ……お願い、連れてって。話せるときがきたら、絶対理由話すから……」


 リエルナは半泣きになりながら頭を下げる。

 ここまでされたら、断りにくいじゃないか……


「……身の安全は、保証しないぞ?」


 ついに、アストルが折れた。それを待ってましたと言わんばかりにリエルナは笑う。


──さっきのは、嘘泣きか!


 なかなかの策士だ。


「いいの、アストル?」


 クローリアが心配して聞いてくる。


「治す力が本当なら、頼もしいのは確かだろ?──あ、でも迷子って……家はどこなんだ?帰らなくていいのか?」


「大丈夫なの。アストルに会うために迷子になったの」


「それ、迷子と違う気がするんだが。まぁ……いいか」





──リエルナ、アストルという者についていっておくれ


──彼は、世界を…


──いつか伝えなくてはならないのだ


──彼が自分という存在に疑問を持ったとき


──真実を話すべき時がきたら…


メインパーティを早く出すため駆け足になってしまいましたが、ここからはしっかり書いていこうと思います(たぶん…)



やっと出てきた女の子キャラ、リエルナさん。

物語のキーマンです。


女の子キャラは他にもぼちぼち出していく予定です。

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