6枚目『私の学校』
やっぱり、書くのってモチベーション大切だよね……w
家に戻って、数日経った。
家での生活に慣れた私は今、久しぶりに着た服のせいで、これから行くところのせいで、緊張している。
お母さんが胸のリボンを締めてくれる。それと共に、私の気持ちも引き締まる。
学校。私はまだ中学生。当然、学校に行かなきゃいけない。事故の後の手続きなどがあったせいで、今まで伸びてしまったけれど、学校に今日から復帰することになった。
――――――皆、元気かな……。
そう思うと、自然と気分が高まった。
リボンを整えてくれたお母さんが、私の胸をトンッと叩いて、「もういいよ」と言う。
手には、手袋がはめられて、金属の色は見えない。左の袖には何もない。腕がないのだから当然だけれども。
家から出ると、日の光が妙に眩しかった。それに、右手をかざし、空を見る。
うん、いい天気。
「千沙ー、行くわよー」
と、お母さんが車のエンジンをかけて声をかけてきたので、「今行くー」と返事をして車に向かって歩く。この腕になってから、走るのは控えるように言われた。実際、走ろうとしても、上手く走れない。だから、普段は歩くようにしている。走って転けたりしたらどうなるかわかったものじゃない。腕が壊れてしまうか、そうでなくても、腕の動きは遅いのに……。
空いているドアから車に入る。ごくごく普通の軽自動車。車内に入ると、お母さんがシートベルトをして、ドアを閉めてくれる。そのまま車の前を回って運転席にお母さんも乗り込む。お母さんが車の鍵を射し込んで回すと、独特の振動とエンジン音が体に伝わる。
ゆっくりと走り出した車。風景が流れ、まだ角度が浅い太陽が建物に隠れたりして眩しかった。
そして、車に揺られること数十分。私の学校に着いた。
何処にでもありそうな外見の、ごく普通の中学校。とてもとても懐かしくて、あの日の前から行っていて、本来ならあの日からもずっと来るべきだったはずの場所。
――――――戻ってきた……。
校門前には誰もいなくて、来る人も誰もいない。それもそのはずで、既に授業が始まっていたからだ。
お母さんと一緒に職員室に行って、そのまま応接室に通された。学校復帰の話をほんの少しだけしてから、その時間の授業が終わるまで応接室で待機することになった。
でも、その待機している間、違和感を覚えた。違和感の正体は、周りからの視線。
好奇心を含んだ瞳、不快感、嫌悪感。いろんな視線が私に突き刺さる。目の前にいる担任すらも、私の腕を物珍しそうに眺めている。珍しいのは当然だけれども、その視線がなんだか嫌で、担任とは目を合わせないようにした。
そのとき、待ちに待った授業終了のチャイムが鳴り、応接室から出た。
授業が終わって教室から出てきた生徒も私の腕を、普通の人ならあるはずの腕と、手袋のはまった歪な腕を見て、口を開けてほうけたり、ヒソヒソ話をしたりしていた。
教室に入っても、私に向けられる目は同じようなものだった。
私はその視線に、嫌な予感を感じざるをえなかった。
さぁて、ここから先頑張らないとなぁ……心が折れないことを祈ります(主にうつ予備軍(笑)な自分の自爆という意味で。