Prologue
人は生まれるときに一つの運命を授けられる
死という現実
それは全員が持つもの、決して曲げることの出来ない事実
遅かれ、早かれ、人は死に直面する
そして今このときもどこかで命が失われ続けているだろう
"いじめ""内紛""戦争"人はいったい人をどれくらい死ねばいいのだろうか、いつまで殺し続ければ気が済むのだろうか……
そんなことを知る人などこの世には存在しない
たとえ知っているからと言って何が出来るのだろうか
"いじめ""内紛""戦争"を止めることが出来るのか? 防ぐことができるのか?
出来るわけもない。第一にこのご時世、自分から巻き込まれる人なんているわけがないだろう
世界は腐ってしまった。終幕への末路をただ突き進む
"自殺""犯罪"の絶えなくなった日本
昔は黄金の国と呼ばれていた国も世界最大のスラム国と呼ばれている
そんな時少女は生まれた
生まれたときから施設暮らし
母親は少女を生んだときに死に、その次の日少女を施設に置き去りにし父親は失踪した
絶望とも思える状況でも少女は生き続けた
この世界に未来があることをただ信じ続け懸命に生きていた
施設で暮らし始めて十七年目の冬
母親の様に思い親しくしていた施設の職員が死んだ
死因は銃殺、心臓を一発打ち抜かれており即死だったと言う
彼女は自分が思っていた程強くなんてなかった
ダイヤモンドの様に見せかけたただのガラス細工
心は跡形もなく脆く崩れ去る
数日間、食事も喉を通らず学校も休んだ
何人かが心配して来てくれたが会うことはせず自分の部屋で篭り泣いていた
また数日が経ちやせ細り経つこともままならない足で彼女は立ち上がった
「自殺………しようかな」
その顔に表情はなく、誰に会うこともなく施設の外へ出た