表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フェア・ラブ  作者: Aco
2/2

2:片思いのお相手

真希の片思い相手は、両親共に医者だった。

医者のひとり息子で、噂によると将来を期待されているらしい。

中学校も名門の私立に入る予定だったが、母親が電車通学を嫌がったため、地元の中学に通うことになったとか。


もちろん、学年内でも人気の高い男子だった。



「田宮〜」



休み時間になると、男子達は彼の方へ群がる。

田宮タミヤ 伊央イオは、男子にも好かれている。



「田宮ってかっこよくない?」


「本当に。優しいしねー」



でも真希は、ただかっこいいかっこいいなんて言ってる女子達と自分を、同じにされたくはなかった。



―私が一番、田宮の優しさを知ってる



忘れるはずなかった。


去年の冬。


田宮と初めて会ったあの日を。



「…なーにニヤついてんだよ」



帰り道、田宮のことを考えていた真希の肩に、誰かが手を置いた。

真希は呆れたようにため息をつく。



「ちょっと、正人!今いいとこだったのにぃー」



真希の幼馴染で、団地の隣人、北村キタムラ 正人マサト

正人の母親は病死して、今は父親と二人で暮らしている。



「なーにが”いいとこ”だ。どうせ『田宮と私で××…』なんて考えてたんだろ?妄想女め」


「ちょ…っ!そんなんじゃないわよ!!確かに昨日はそうだったけど…」


「じゃあ何なわけさ?田宮のことについての考え事だろ?」



真希は仕方ない、と言わんばかりに肩をすくめた。



「…田宮と初めて会ったときのこと、思い出してた」


「ああ…あのことか」



正人はマフラーを巻きなおすと、真希が歩くスピードを遅くしたので歩調をあわせた。



「去年の…今頃だっけ?

 家出して、駅前をさ迷っていたお前を俺が探しに来て…――」



「嫌がって泣いてたところに、田宮がいたのよね」




去年の二月初旬のこと。


駅前には、今日みたいな粉雪が、ちらついていた―――…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ