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幕間 深海機関アビス
暗い水の中。
波の音すら、ここには届かない。
玉座のような構造物に、
タイドは静かに腰掛けていた。
その視線の先に、
静岡沿岸の映像が浮かぶ。
止まった港。
沈黙する造船所。
動かない船。
「ふふ......」
低く、満足げな声。
「壊していないのに、
全部、止まっている」
指先が、ゆっくりと動く。
「フナドメは本命じゃない」
映像が切り替わる。
「流れを止めれば、
人は焦る」
「焦れば、動く」
「動いた先に——
“本当の回収”がある」
小さく、息を吐く。
「次は……」
言葉は、そこで途切れた。
水が、静かに揺れる。




