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幕間 初めての敗北
基地は、静かだった。
勝利の後に残るはずの熱も、
戦闘の名残も、もうない。
あるのは、
戻ってきた五人と、
戻らなかった感覚だけだった。
いずみは、ブレスを外し、
机の上に置いた。
触れれば、また戦える。
だが——
今は、触れなかった。
「……守れた、と思ったんだけどな」
誰に向けた言葉でもない。
数字でも、結果でもない。
ただの実感だった。
成実は、指先を見ていた。
洗っても落ちない、
湖の冷たさと、
あの匂い。
「倒したのに……」
「終わってないんだよね」
リョクは、壁に背を預けていた。
視線は床。
拳だけが、強く握られている。
「強かった」
それだけを、低く言った。
桜は、何も言わない。
ただ、メダルを指でなぞっている。
選ばれた理由を、
今さら探すように。
一護が、最後に口を開いた。
「……俺たち、勝てる前提で、動いてたな」
誰も否定しない。
今まで、勝ってきた。
だから、続くと思っていた。
だが——
続かなかった。
静岡を守る。
価値を守る。
その言葉は、まだ正しい。
ただ、
自分たちが“それをできる存在なのか”
分からなくなっただけだ。
沈黙が落ちる。
答えは、出ない。
今は、出さなくていい。
五人はまだ、
戦う意味を“借りている”だけなのだから。




