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比較的最近更新した短編のまとめ場所

スライムの世界

作者: リィズ・ブランディシュカ




 雨の日の道。


 一人の女の子が傘を持って歩いている。


 上からスライムの雨が降ってくるから。





 そんな天気はいつものことで。


 じかにスライムを浴びつづけると、健康によくないといわれているから。


 だからみーんな、傘をさして歩かなければならない。





 スライムはそれからも毎日降り続ける。


 雨のように降り続ける。


 どうしてそうなっているのかは、世界のだれも知らない。


 仕事がない日にちょっとした小遣いかせぎで、スライムを退治し続ける冒険者だって知らない。


 モンスターを調べている研究者だって知らない。


 魔法帝国や、賢者の国や、技術の国や、いろんな国を統治する王様だって知らない。


 けれど、スライムはずっと降り続けて、皆注意しなければならない事は知っていた。





 ある日、すごく古い遺跡にたどり着いたトレジャーハンターが、コールドスリープされた昔の人間を発見した。


 細心の注意を払ってとても大きな施設で人間を起こしてみると、驚きの事実が判明。


 その人間はスライムに降られても平気な人間だった。


 ふつうの人間はスライムに降られ続けると大変なのに、なぜか平気だった。


 疑問に思った今の時代の人たちは、その人間が話す古代言語を次に解読してみた。


 明らかになったのは世界にスライムが降る理由だ。





 この世界はとっくの昔に崩壊してしまっているが、スライムが代わりに形を作っていた。


 しかし大きなものを作るのは大変なので、ときどき形が崩れて、空の部分とかが剥がれ落ちてしまうらしい。


 そんなスライムを浴びつづけたこの時代の人たちは、体が時期にとけてしまう。


 それは、かつて人間は、世界を形作っていたスライムと同じ存在だったからだ。





 世界を作ったスライムは、同時に人間も作って、世界中に配置していた。


 だから、今の時代の人間は、スライムの雨にあたりすぎると体がとけて、世界に……元のスライムに戻ろうとしてしまうのだという。


 けれど、分裂して生きた時間が長すぎたせいで、個というものができてしまい、皆はかつて一つだったことを忘れてしまったという。


 だからスライムの雨が駄目な理由が、誰にも分らなかった。





 長すぎたコールドスリープの影響なのか、世界最後の人類は、その話をしてからしばらくして、この世を去った。


 最後の人類が亡くなったことで、世界を作っていたスライムは自分の行動をやめてしまう。




 

 ものすごく昔の時代。


 仲良くなった人間とスライムがいたが、何かがあって世界は滅亡してしまった。


 生き残った人間は、空気もなくなってしまい生きられなくなったため、コールドスリープすることにした。


 生き残ったスライムは、そんな人間が起きたときに生きられる世界を作るために、自分の体を広げて大地や空や平原や海を作った。


 そして、人間が起きた時、寂しくならないようにスライムの人形を作ったのだ。


 けれど、コールドスリープ装置は壊れていて、目覚めの時がいつになるかは分からないまま。


 それから長い時間が過ぎた。




 そうして今に至ったスライムは人間が起きた事を喜んだ。


 けれどすぐにその人間が死んでしまったのなら、もう自分の行動に意味はないと考える。


 そのため世界は全部溶けてきえてしまい、そこで生きる人間だと思っていたスライムたちも生きられなくなってしまった。




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