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旅立ち編 第二話:構造の治療と、錬金術の融合

聖都アルドールを出て数日。

サトシは、ファング・ウルフとの戦闘を通じて、自身の**『構造把握』が『戦略』**として機能することを理解した。

三人を乗せた馬車は、西街道から外れ、水路都市アクアリアに続く近道である小さな山間の道に入った。道中、一行は**『キノコの森』と呼ばれる、小さな集落『コナル村』**に立ち寄った。

「水と食料の補給が必要です」と、フィーナが馬車から降りながら言った。

「俺は周囲の警戒を」ライオスは街道の監視に向かい、サトシとフィーナは村へと入っていった。


【村人の悩みと、慢性の『構造の歪み』】

コナル村は静かだったが、村人の表情はどこか優れなかった。サトシが井戸のそばで休憩していると、村の長老らしき男性が、辛そうな表情で腰をさすりながら話しかけてきた。

「旅の方、見慣れない御方じゃ、わしらは、この森のキノコの採取で生活しておる、何もない村だがゆっくりして行ってくだされ」


「近頃は皆が腰や膝の痛みに悩まされておってな…特に、この冷える時期はつらい」

長老は、数年前に転倒して以来、治らないという膝の痛みを訴えた。

サトシは、迷わず長老の膝に手を触れた。

『精密なる構造把握』!

長老の膝関節ヒンジ・ジョイントの構造が浮かび上がる。数年前の転倒により、膝蓋骨を支える**『腱』(じん帯)の微細な損傷と、それによる『関節の不必要な開き』**(ルーズニング)が発生していた。**このわずかな『不安定さ』**が、長年の間に周囲の筋肉を硬直させ、慢性的な痛みの原因となっていた。

(これは…僕の『本業』だ、しかし、この損傷は、修復に時間がかかる)


構造治療と、錬金術の融合


サトシはフィーナに協力を求めた。

「フィーナさん、この長老の膝関節の**『不安定さ』を、一時的に補強し、痛みを緩和する必要があります。僕が『アジャスト』で関節のズレを解消した後に**、『筋肉や靭帯を安定させるポーション』を調合してもらえますか?」

「不安定さ…それを補強する?「なるほど!」」フィーナは目を輝かせた。錬金術は通常、物質の**『変化』を目的とするが、サトシの指示は『安定化』**という、まさに新しい応用だった。

フィーナは、サトシが指示した**『筋繊維の活性化』と『炎症の鎮静化』**に特化した薬草を調合し始める。

(サトシの元の世界の知識と錬金術師のフィーナの知識で作られたポーション)

その間、サトシは長老の膝関節に、極めて正確な**『圧』と『角度』で手技を施した。カツンというわずかな音とともに、長年の『関節のズレ』**が解消される。痛みはすぐに引いたが、構造の根本的な安定には、この世界の素材が有効だ。

「フィーナさん、今だ!膝蓋骨の裏側、内側側副靭帯(MCL)の接合部に、ポーションをかけてください!」

フィーナは、サトシの完璧な指示に従い、調合したばかりのポーションを、長老の膝の特定部位に正確に使用した。ポーションが皮膚から吸収されると、サトシの視界の**『構造図』**の中で、不安定だった靭帯の繊維が、まるで新しい接着剤で固定されるように、骨に再結合リ・コネクトされていくのが見えた。

「これは…痛みがない!膝が、まるで若い頃のように、しっかりと支えられている!」長老は驚きと感激の表情で立ち上がった。


【調整師の評判】

長老の奇跡的な回復を見て、他の村人たちも、競うようにサトシのもとに集まってきた。全員、長年の重労働や不慣れな姿勢からくる**『構造の不整合』**を抱えていた。

サトシは次々と村人の**腰椎、頸椎、肩甲骨の微細な『ズレ』を把握し、フィーナは、それに合わせて即座に『関節の潤滑ポーション』や『筋肉弛緩ポーション』**を調合する。

「サトシ殿の**『構造把握』と私の『錬金術』**は、最強の組合せですね!」フィーナは興奮を隠せない。

ライオスが戻ってきたとき、彼は、もはや治療院と化した井戸の周りに立つ、驚くべき光景を目にした。サトシの周りには、活気を取り戻した村人が笑顔で溢れ、三人の旅人が**『奇跡の調整師』**と喜ばれていた。

「どうやら、戦闘はなかったようだな」ライオスは剣を鞘に収め、笑った。

「だが、あんたの仕事は、人を笑顔にするいい仕事だ」

サトシは、感謝する村人たちに深々と頭を下げた。

彼の**『カイロプラクター』**としての信念は、異世界においても変わらない。

「僕の仕事は、手の届く人達を僕の能力の及ぶ範囲で笑顔にする事です。

その方法が建物の修繕でも身体の調整でも同じ事です。

三人は、村人の感謝と旅路の糧を携え、水路都市アクアリアを目指して、再び街道を進むのだった。

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