聖都アルドール編 第五話:調整師の研鑽と、旅立ちの準備
リーフ村の異変を解決し、聖都アルドールへと戻ったサトシたち。ギルドの一室は、勝利の熱狂と、差し迫る危機への緊張感に包まれていた。サトシが発見した「サインのような物」は、フィーナの解析により、古代の「構造魔術」を操る何者かの痕跡であると確定していた。
サトシのカイロプラクターの勘が因縁めいたものを感じていた。
そんな矢先、バルカスから特命の依頼が届いた。
「水路都市アクアリアの地下迷宮の修復…」サトシは迷っていた聖都アルドールを長く離れる事になるからだ、患者を放って行く事はできない、特命依頼はほぼ強制なので行くしかない仕方なくサトシは頷いた。
「そうか…」バルカスは厳しい顔で言った。「だがサトシ、お前自身の能力は認めるが、お前自身はただの駆け出し冒険者だ、アクアリアは遠い。道中、そして現地で、お前自身が危険に晒される。ライオスがいても、お前の身体はあまりに弱い」
バルカスの言葉を受け、ライオスとフィーナは、サトシの「特訓」を決意した。その訓練の拠点として、聖都アルドールのギルド裏を借りた。
ライオスによる「騎士の基礎」を
**「サトシ、あんたの体は非戦闘員のそれだ。今まではなんとかなったが、旅路では致命的だ」ライオスは続けた。**かつて騎士団長として部下に教えていた、肉体的・精神的な基礎鍛錬をサトシに課した。
それは、サトシが過去に経験したことのない、激しい肉体訓練だった。だが、ライオスの指示は、常に的確でサトシの能力や体力を飛躍的に向上させる事になる
「ただ腕立て伏せをするな!サトシ、「構造把握」を発動しろ!」
サトシの視界に、腕立て伏せをする自身の骨格の連動が浮かび上がる。
「見ろ!肩関節の可動域が、あともう少し深い位置にあるべきだ。腹筋の筋繊維が、効率の悪い「波」を描いている!俺の訓練は、「騎士の基本動作」を通じて、あんたの身体を戦えるようにするためのものだ」!
ライオスは、騎士団で培った肉体改造メソッドを徹底的にサトシに教え込んだ。これは、戦闘力そのものよりも、耐久性と安定性を向上させるための調整だった。数日の鍛錬で、サトシの体力と軸の安定性は、見違えるほど向上した。
フィーナによる「錬金術」の基礎
一方、フィーナは、錬金術師の作業場で「構造補強」に特化した錬金術の基礎を叩き込んだ。
「サトシ殿、旅の途中で、あなたが構造を把握できても、即座に修復ができないが修復が必要な場面があります」フィーナは、調合した薬を見せた。
「この「リ・アジャストポーション1型」は、物質の結晶接合部を一時的に緩め、再配列させるためのものです。あなたの構造把握が、ポーションの使用箇所を正確に把握する事で、この錬金術は構造調整の助けとなります!」
サトシは、魔力と物質構造を見る能力を活かし、フィーナの理論を驚異的な速さで吸収した。錬金術を「構造を一時的に操作する工具」として捉え直し、即座にいくつかの薬剤や、応急的な「固定化のための魔力石膏」を自作した。
旅立ちの決意
「二人とも、ありがとう」サトシは、ライオスに鍛え上げられた体で、錬金術を応用したの「万能工具」を腰のベルトに収めた。彼は、もはやただのカイロプラクターではなく、ギフトを武器とする調整師へと進化していた。
サトシは患者の皆さんに1人1人挨拶と健康のアドバイスをしてしばしの別れを告げた。
旅立ちの準備を終えて
「この3人なら必ず依頼を達成してギルドに必ず帰ってきます」サトシはバルカスに告げた。
三人は、聖都アルドールから、水路都市「アクアリア」を目指して馬車に乗り込んだ。
【リ・アジャストポーション1型】
生物に使えば筋肉を緩め
物質に使えば結合が緩み脆く
アジャストする際に使うと調整がしやすくなる
2型、3型と改良版を開発中




