聖都攻防編:聖都の図書館と、歪曲の残響
【聖都アルドール:図書館の静寂】
サトシ、ライオス、フィーナの三人は、森での再構築を終え、聖都アルドールへと帰還した。目指すは、広大な知識が眠る聖都大図書館だ。
「200年前の精霊樹の異変に関する文献は、ここの**機密書庫に隔離されているはずよ。森の異変は、聖都にとっても『調整師の存在価値』を揺るがす大事件だったから」フィーナが静かに告げた。彼女の知識は、この情報探索において強力な『診断ツール』**となる。
サトシは、透明に変化した**「調律の光」が記録されたペンダント**をジャケットの内ポケットにしまい込んだ。
【黒曜石の記録:イオニアの軌跡】
機密書庫で、三人は埃を被った複数の古文書を見つけた。
* 『森の停滞事象に関する調査報告書』
* 『若き調律師イオニア・カオスに関する記録(聖都への報告)』
報告書によれば、イオニアはかつて聖都の調整術学院の首席候補であったが、ある日、**「歪曲の魔力」**に関する禁忌の研究に傾倒し、姿を消したとあった。
> 「彼が残したと言われる理論書には、『構造は、その構造自体が内包する歪曲の力を完全に分離することで、初めて安定する』と書かれていたわ…構造破壊は、彼にとって『歪曲の切り離し』だったのね」フィーナは驚愕に目を見開いた。
>
しかし、肝心の黒曜石のペンダントの出所については、『古代遺跡からイオニアが持ち帰ったアーティファクト**』**としか記録されていなかった。
【サトシの発見:歪曲の使徒の痕跡】
サトシは、イオニアが残した理論書の巻末に、微細な違和感を見つけた。それは、文字でも図形でもない、まるで**『神経の結び目』**が強制的に引き裂かれたような、**乱れた魔力の残響**だった。
サトシは両手をそのページに置いた。
「この残響…まるで、僕が構造破壊を経験した時、**『コアを強制的に剥離させようとした』**あの感覚と同じだ…」
彼は、自身の**『意識(エーテル体)』**をその残響へと同調させた。
* ズン…
* 彼の意識に、黒曜石の青年の、狂信的な光に満ちた目が再びフラッシュバックする。
* しかし、その狂信的な瞳の**『奥』**に、もう一つ、冷たく嘲笑うような、別の視線が混ざっているのをサトシは感じ取った。
「違う…!イオニアは、この歪曲の魔力に**『利用されていた』**だけなのか?彼が使徒ではない…?」
【図書館の異変と、歪曲の使徒】
サトシが残響から意識を引き戻した瞬間、図書館の静寂が破られた。
* ドン!ドドン!
機密書庫の重厚な扉が、外から暴力的な力によって破壊される音が響いた。
「誰か来たわ!この記録を知られたくない勢力よ!」ライオスが剣の柄に手をかける。
現れたのは、フードを目深にかぶり、全身から**濃密な『歪曲の魔力』を噴出させる人影だった。その手に持った杖からは、図書館の書架や床の構造を『歪ませ、ねじ曲げる』**黒いエネルギーが放出されている。
> 「調律師の小僧め。まさか、**『連動の鍵』**の真の記録を蘇らせていたとはな…」
> 歪曲の使徒は、サトシに向かって冷たく言い放った。「歪曲の魔力が内包されたペンダントの情報を、お前が『リビルド』したことで、我々の計画に**『ズレ』**が生じた。その『歪み』は、ここで修正させてもらう!」
>
使徒の言葉は、イオニアの書き置き**「すみません」**の真意、そして黒曜石のペンダントの秘密に繋がっているように思えた。
【次の展開:衝突と逃走】
歪曲の使徒の魔力が、サトシ達のいる空間の**「構造」**を崩し始める。
「ライオス、フィーナ!奴は時間を稼ぎたいだけだ!情報を持ち出すぞ!」サトシは、イオニアの理論書を掴み、叫んだ。
『精霊樹の自己調整機能が回復した今、歪曲の使徒の目的は、その『連動』を再び歪ませる『連鎖的な構造破壊』の再開にある』
サトシは、精霊樹と森の未来を守るため、歪曲の使徒との戦いを避け、情報を手に、聖都の喧騒へと飛び出した。
第九話へ続く: サトシは聖都で、歪曲の使徒から逃れられるのか?イオニアの理論書に残された「歪曲の痕跡」が示す真実とは?




