プロローグ第二話 聖剣と力の流れと調整
依頼を終え、ギルドに戻ったサトシは、受付の横に貼られた**『特別依頼書』**に目が釘付けになった。
【特別依頼】『光の聖剣』再生依頼
内容: 聖剣ルーメンの修復
方法は問わない
追記事項: 聖剣『ルーメン』
伝承によると魔王戦で受けた*『魔力の侵食』*により、その輝きを失った聖なる剣。
鍛冶師や魔法使い、錬金術師の誰にも原因が特定できていない。
聖剣の修復できる者を求む。
そう記されていた。
ギルドの冒険者たちが、誰も手を出せずにいる依頼だ。
【聖剣の修復】
(剣…物質の構造も見える、俺の能力なら…)
サトシは受付に申し出た。
「この依頼、私にやらせてください。」
ギルド職員は笑った。
「冗談でしょう?あなたは調整師の先生で鍛治や魔法は素人じゃないですか」
「いえ、私の能力なら原因がわかるかもしれません」
受付のギルド職員が半信半疑で受理した。
後日
神官の男性に聖剣のある祭壇へと案内されるサトシ。
そこに置かれていたのは、輝きを失い、まるで鉛のように鈍く黒ずんだ長剣だった。
サトシは、その剣にそっと触れると。
**『構造把握』**を発動した。
次の瞬間、サトシの目に映ったのは、聖剣に使われている素材、秘められた力、幾重にも連なったその結晶構造が、まるで人の背骨や神経、血管の様に見えた。
その骨格が『微細な謎の魔力』によって、まるで**『骨のズレ』のように、わずかに歪んでいる**様子だった。
「なるほど…神経伝達が歪みによって妨げられているように、この聖剣の『神聖な力』が『ズレ』によって妨げられている。
これを、『調整』するだけでいい」
周囲が固唾を飲む中、サトシは持参していたハンマーを取り出した。
彼は、カイロプラクターとして培った、**ミリ単位の『圧』と『角度』を調整する繊細な技術で、この聖剣の最も歪んでいる一箇所に、『コンマ数ミリ』の正確な衝撃**を加えた。
キン…
静かな、しかし澄んだ音が響いた、聖剣から、『謎の魔力』が黒ずみの霧のように蒸発し、眩いばかりの光が放たれた。
「…戻った!聖剣の光が復活したぞ!」
驚愕と歓喜の声が上がる中、神官の男性が深々と頭を下げた。
「サトシ殿、我々はあなたの真の能力を見誤っていました。
これは、**伝説の『調整師』**の技です」
こうして、カイロプラクターにしてDIY愛好家だったサトシは、異世界で**『伝説の調整師』**として、その名を轟かせていくことになった。
彼の仕事は、聖剣の修復に留まらない。
魔物との戦闘で**『歪んだ』仲間の骨格を治療し、人々の『歪んだ』人生すらも、その精密な手で**「調整」し、『正しく組み直す』ことになるのだった。
この時、感じた『謎の魔力』に翻弄されていく事をサトシはまだ知らなかった。




