調整師の里編 第七話:森の蘇生と、消えた調律師
【調整開始:コアへの接続】
サトシは、透明に変化した**「調律の光」が記録されたペンダント**を手に、ライオスとフィーナと共に精霊樹の主根の前へとたどり着いた。
「今から、この情報を精霊樹に接続する。このペンダントは、精霊樹が最も**『健全な連動』**を保っていた頃のデータだ。
フィーナが魔力測定器を使い、ペンダントと精霊樹の主根の間に微細な魔力の導線を張る。
サトシは両手を主根に置き、ペンダントをその間に挟み込んだ。
「構造破壊のショックウェーブに耐えた時と同じだ。僕の**『意識(エーテル体)』を、この精霊樹の『調律』**と完全に同調させる!」
サトシが強く念じた瞬間、ペンダントから記録された透明な光の奔流が精霊樹へと流れ込んだ。
* キィィィィィィィィン…!
森全体に響き渡る高周波の音が、再びサトシのエーテル体を震わせる。
今度は破壊ではなく、**再構築**の共振だ。
【200年の停滞からの解放】
光が精霊樹に流れ込むと、**「硬直した根」**が微かに震え始めた。
「まるで、長年固まっていた関節が動き出すような、抵抗と解放の感覚だ…!」
サトシのコアにも、強い**「連動のイメージ」がフィードバックされてくる。
精霊樹の『自己調整機能』**が、200年の時を超えて目覚め始めたのだ。
精霊樹の主根の周囲に、温かく、しかし力強い**「調律の光」**が溢れ出し、急速に森全体へと広がっていく。
枯れていた枝葉に生命の色彩が戻り、止まっていた水の流れが音を立てて再開した。
「**蘇る…!**森が、里が、時を巻き戻している!」
フィーナと、ライオスは感嘆の声を上げた。
そして、塔の外から、遠い人々の話し声と、生活を営む音が聞こえ始めた。
【帰還する調律師たちと、消えた青年】
光の奔流が落ち着いたとき、塔の入り口には、驚きと喜びの表情を浮かべた複数の人影があった。
「あれは…!この里の住民だ!」ライオスが叫んだ。
精霊樹の自己調整機能が解放されたことで、時が止まっていたこの里の周囲に、時空間の歪みから解放された人々が次々と現れ始めたのだ。
長老を筆頭に、調整師たちは再会を喜び、蘇った森の生命力に感謝の言葉を述べた。しかし、サトシの視線は、彼らの中にいるはずの人物を探していた。
> 「黒曜石の青年は…?」
サトシは長老に尋ねた。
長老は、ペンダントを持っていた青年のことを思い出そうと首を傾げる。
「…黒曜石のペンダント?
イオニアが持っていた『連動の鍵』の事かのう?」
「イオニアがどこかから持って来た『アーティファクト』じゃ」
「凄まじい力が内包されていて危険な物
だが、それを使ってイオニアは里を救うために研究をしていた」
「彼はこの里唯一の調律師じゃ」
長老は、遠い目をして語り始めた。
「イオニアは、当時、里の**『連動』が乱れ始めた時、それを正すために精霊樹との**『繋がり』を断つ事で、この森を守ろうとした、非常に優秀な若き調整師じゃよ」
【残された謎と、構造破壊の真意】
「ですが、彼が構造破壊を行ったんです。僕の見た過去のビジョンでは…」サトシは食い下がった。
長老は静かに首を横に振る。
「…破壊、かもしれん。しかし、彼の真の目的はそうではないと我々は信じていた。里の誰もが、イオニアが**『精霊樹の自己調整機能』を、里の人間が関与しない『完全なる状態』で安定させようと、していると考えていた。
彼は言っていた…『人の手が入ると、必ず構造は歪む。
完全な構造は、人の関与を断つことでのみ保たれる』**とな」
サトシは、過去で見た、青年の狂信的な光を帯びた瞳を思い出した。
> 「精霊樹との『繋がり』を強引に引き剥がし、森全体を『荒廃させた』のは…『内包された力の暴走』歪められた調整だったのか…?」
>
長老は続けた。
「儀式の日、彼はペンダントを祭壇に置き、力を放出した後、誰も見ていないうちに里を去った。
イオニアは**『すみません』**という、一通の書き置きを残しただけじゃ」
里の人間は、それから少しして、時が止まり。
我々は彼を咎めることも、許す事もできなかった。
長老の話は、サトシが知る**『構造破壊の犯人』**という単純な図式を複雑なものにした。
黒曜石の青年は、破壊者か、それとも歪んだ信念を貫いた調律師だったのか?
サトシは、水晶のように透明になったペンダントを握りしめる。
この中に記録された**「調律の光」こそが、イオニアが残そうとした「精霊樹の未来」**…
サトシは『黒曜石のペンダント』歪曲の魔力の内包されたペンダントをどこで手に入れたのか?
イオニアはどこへ消えたのか?
歪曲の使徒は、どこに?
歪曲の使徒の目的は?
謎は深まるばかりだ
フィーナのススメで聖都の図書館に、200年前精霊樹の森の異変後の文献を調べる事にした、サトシ達は、一旦、聖都アルドールに帰る事にした。




