調整師の里編 第一話:能力の限界、そして「調整師の里」への手がかり
水路都市アクアリアの危機を救ったサトシたち。しかし、その代償は大きかった。ギルドの一室で休むサトシは、激しい頭痛と、能力が使えない焦燥感に苛まれていた。
【失われた「構造把握」】
『構造把握』!
「ぐッ……!」
ベッドの上で、サトシは能力を発動しようと試みたが、頭の中に響くのは、鋭い**「鉄を軋ませるようなノイズ」だけだった。視界は歪み、全ての情報が混沌に帰す。
彼の、能力の核である精神構造が、迷宮での酷使と『歪曲の魔力』との干渉により、『機能不全』**を起こしているのだろう。
「フィーナ、僕の『構造把握』は…」
「構造把握は、今後、使うのは危険かもしれません」フィーナは険しい顔で告げた。
自身の最も重要な武器を失ったサトシに、ライオスが静かに言葉をかけた。
「あんたの頭にある**『知識』**は残っている。
あんたの知識と、俺たちの力で、使徒を追うぞ」
【使徒の痕跡と、連携】
サトシは、痛む頭を押さえながらも、ライオスとフィーナの情報を元に推理を始めた。
フィーナ:「使徒の魔力の痕跡は、通路の**『構造的な負荷が最もかかる、中央の梁の接合点』**に濃く残っていました。そこは、私たちが固定ポーションを使った箇所と一致します」
サトシ:「やはり…奴らは、逃走ルートを、最も**『安全なルート』を選び、移動中の『構造の綻び』**を最小限に抑えた。それは、僕が最も効率の良い身体の使い方を指導した、ライオスさんの『騎士の基本動作』と同じ理屈です」
フィーナは、と古代文字のサインと歪曲の魔力の痕跡を照合し、使徒の次の標的が、北東の山脈を超えた先にある**『精霊樹の森』**であることを突き止めた。
【新たな手がかり:「調整師の里」】
その時、ギルドマスターのグラントが、慌ただしく部屋に入ってきた。彼は、感謝の印として、古代の文献をサトシに手渡した。
それは『精霊樹の森』に、『伝説の調整師の里』があると言う資料だった
「調整師殿、この文献は、我が都市に残る最古のものだ。
君の能力に、何かヒントがあるかもしれん」
サトシは、その羊皮紙を手に取り、フィーナに朗読を頼んだ。
「…『構造の道に迷いし時、「太古の森」の根源を辿れ。
神の視点を癒す術は、「大地の背骨」が休む地にあり』…」
フィーナは目を凝らした。
「『太古の森』は、『精霊樹の森』を指します。
『大地の背骨が休む地』…私の見た古文書には、**『調整師の里』**を示す表現として記載されていました!
そこでは、秘伝の技術があり、サトシ殿が使う様な特殊な手技を使うとか?
精霊樹の森のどこかに調整師の里はあるいう事です。」
「調整師の里…」サトシの胸が高鳴った。自分のギフトの源流を知る手がかりかもしれない。
【ギフトを失っても調整師】
サトシは立ち上がった。体調は優れないが、このまま使徒を野放しにはできない。そして、自分の能力を取り戻すためにも、里へ向かう必要がある。
「偶然か目的地はほぼ同じ、北東の山脈へ向かいます。
使徒の追跡と、僕の治療を同時に行います」
サトシはそう宣言した後、ライオスとフィーナに向き直った。
「僕の**『ギフト』は使えません。ですが、僕の『カイロプラクティック』は使えます。ライオスさん、疲労を隠していますが、剣の構えに『わずかな歪み』が出ています。フィーナさん、この魔力の残滓を解析するのに、『頸椎に負担』がかかっている。
出発前に、僕が二人を『調整』**します」
能力を失ったサトシは、自身の**「知識と手技」**という原点に立ち返った。
ライオスとフィーナは、サトシのその揺るぎないプロ意識に感銘を受け、調整を受けた。
調整を終えた三人は、新たな目的と、能力を封印された調整師サトシを乗せ、使徒の痕跡と、自身の起源を求めて、**『精霊樹の森』と、そのどこかにあるとされる『調整師の里』を**目指すのだった。




