表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/20

旅立ち編 第五話:主軸の再調整と、歪曲の残滓

水路都市アクアリアの地下迷宮、制御室へと続く通路は、崩落と轟音を上げる不規則な水流によって、極限の危険地帯と化していた。サトシは頭痛をこらえながら、ライオスとフィーナに指示を出す。

「ライオスさん、水の勢いはもう止められません!フィーナさん、あの壁の**「構造固定ポーション」を!ライオスさん、剣の腹で、通路の梁の端を叩いてください!「構造の遊び」**をなくし、崩落を一時的に防ぐ!」

ライオスは剣の腹で、サトシが指示した石造りの梁の端を正確に叩き込み、フィーナが即座にポーションを流し込む。サトシの**「構造把握」とチームの連携により、彼らは決壊寸前の通路を突破し、ついに迷宮の心臓部、巨大な『制御室』**へと辿り着いた。

【制御室:歪む巨塔】

制御室の中央には、都市の命運を握る**『マナ・コンジット』**がそびえ立っていた。それは、複数の水流と魔力導管が絡み合う、高さ十メートルにも及ぶ巨大な構造物だった。しかし、その主軸は、まるで酔っぱらいの足取りのように不規則に振動し、周囲の構造物に激しい衝撃を与え続けている。

『精密なる構造把握』!

激しいノイズと頭痛が襲いかかる。

サトシは、ノイズに耐えながらコンジットを見据えた。視界に映った構造は、完全に**『歪曲の魔力』に汚染されていた。主軸の『軸受』**。巨大な構造物が高速で回転するたびに、激しい摩擦と衝撃を生んでいた。このままでは、数時間で構造物は崩壊し、都市は水没する。

「ズレは、予想以上です…!この主軸の**『軸受』に調整アジャスト**する必要がありますが、この振動の中で、僕の力では調整を加えることは不可能です!」

サトシは焦燥に駆られていた。この構造物は、一人の調整師の力を遥かに凌駕する巨大さだった。

【構造錬金術:巨大な調整具の創出】

フィーナが、サトシの苦悩を察し、進み出た。

「サトシ殿、私に指示を!この制御室には、緊急用の**『魔力調整炉』**があります。あれを使いましょう!」

フィーナは、制御室の片隅にある古びた魔力炉を指差した。

「私たちが、**『歪曲の調整具ディストーション・キャンセラー』**を錬成するのです。サトシ殿、主軸のズレを解消するために、最も必要なのは何ですか?」

サトシの頭脳が、極限の状況で閃いた。

「構造を正すための**『正確な角度』と、それを維持するための『強力な固定力』です!フィーナさん、あの魔力炉を使って、『ディストーション・キャンセラー』を錬成してください!ライオスさん、主軸の、『ズレの頂点』**に叩き込んでください!」

サトシは**「構造把握」**で確認したズレの頂点を示す。

ライオスは、サトシの指示に従い、コンジットの巨大な主軸に跳び移る。彼の軸の安定性と剣の正確性が、この極限の振動の中で、最もズレた一点にディストーション・キャンセラーをぴたりと触れさせた。

それこそが、サトシが示した『ズレの頂点』**だった。


【最終アジャストメント:魔力の鉄槌】

「今です、フィーナさん!炉の魔力を全て使って、キャンセラーに魔力を集中してください!ライオスさんはそのキャンセラーを**『ズレの頂点』**へ、叩き込んでください!」

フィーナは魔力炉に大量のポーションと、これまでにない量の魔力を注ぎ込んだ。炉から、巨大な青い魔力の塊が噴出し、ライオスのキャンセラーに送った。ライオスがキャンセラーを振りかぶり、主軸の**『ズレの頂点』**へと正確に命中させた!

ドッカーン!

その音は、これまでの全ての調整音の中で、最も大きな、爆発音だった。

主軸の**『軸受』**は、ポーションの力と青い魔力によって一時的に結晶構造が緩められた、そこにキャンセラーの一撃によって再配列された。

次の瞬間、コンジットの振動は完全に止まり、都市全体に響いていた**『不協和音』は、清らかで一定の『水流の調べ』**へと変わった。

【残されたサイン】

サトシは安堵の息を吐きながら、主軸の**『軸受』**に触れた。歪みは消え、構造は完全に安定している。

しかし、その軸受の表面には、彼がリーフ村で見たものと同じ、微細な**『彫り込み』が刻まれていた。それは、「構造の歪曲は、新しい構造を生み出すための進化である」**という古代文字のサインだった。

「まただ…**『調整』**を理解し、そして否定する存在が、この構造物を歪ませた」サトシは悟った。

フィーナは、測定器の異常な数値を読み上げる。

「サトシ殿、この先の地下通路の方から歪曲の魔力の反応があります…」

サトシは、その通路の暗闇を見つめた。

「僕の旅は、まだ続く。構造を正す僕と、構造を歪ませる使徒…僕らの戦いは、この都市アクアリアで、ついに**『顔の見えない宿敵』**へと、その矛先を向けることになる」

水路都市アクアリアの危機は去った。しかし、調整師サトシの、構造を巡る本当の旅は、今、始まったばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ