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旅立ち編 第三話:夜の襲撃と、魔物の『歪み』

コナル村での滞在を経て、サトシ、ライオス、フィーナの三人は、村人たちの温かい見送りを受け、再び旅路についた。

チームの連携は深まり、サトシのカイロプラクターとしての信念も、この旅を通じて、一層強固なものになっていった。

その日の夜、一行は街道から離れた林の中に馬車を止め、焚き火を囲んでいた。

ライオスが周囲の警戒にあたっている。

「コナル村でのポーション応用は、本当に目から鱗でした。

サトシさんのおかげで、錬金術の可能性が広がりました」フィーナは、旅の記録用の羊皮紙に、今日の治療の配合を熱心に書き込んでいた。

「フィーナさんの知識があってこそです、僕の**『構造把握』は『設計図』**を描くだけ、それを活かすためのポーションを提供してくれるのは、フィーナさんです」

サトシはそう答えながら、手入れの終わった工具を腰のベルトに収めた。

その時、林の奥から、複数の獣の唸り声が響いた。

それは、先に遭遇したファング・ウルフよりも獰猛で、どこか不自然な甲高さを帯びた声だった。

ライオスが、即座に駆け戻ってきた。その表情は厳しく、剣の柄を握る手に力が入っている。

「サトシ、フィーナ、奴らだ、最近噂の**『グリム・ハウンド』**だ。群れで動き、動きが読めん厄介な魔物だ!」

動きの読めない魔物グリム・ハウンド

最近になって頻繁に現れるようになった魔物、ファング・ウルフの変異種とも言われている、グリム・ハウンドが林の中から複数、姿を現した。

身体こそファングウルフより小さいが、その筋肉は異常に発達しており、獲物を追い詰めるために、不規則な軌道で飛び跳ねる。

「厄介なのは、奴らの**『動き』だ」

ライオスが説明する。

「予測できない動作で急停止し、急発進する。俺の剣が、奴らの『動き』**を捉えきれん」

「フィーナ、馬車の陰に!」

ライオスは言い放ち、ハウンド達を引きつけるために飛び出した。

「サトシ!」

ライオスはサトシに目で合図を送った。サトシは、ライオスの合図の意図を理解し、残りの一体の動きに注視した。

ライオスとの戦闘で鍛えられた体の動きで、攻撃をかわしながら、能力を発動させた。

サトシの視界に、グリム・ハウンドの骨格と筋肉の連動が浮かび上がる。

ライオスが言う通り、その動きは不規則で、複雑に変動している。

(違う!不規則なのではない!この魔物は、獲物を捕らえるために、『最も予測されない歪み』を自身の体に故意に作り出している!)

ハウンドが地面を蹴る瞬間、その腰椎と後脚の関節の連動に、意図的に『一瞬の歪曲』が生じるのが見えた。

この『歪曲』こそが、魔物の予測不能な軌道を生み出している、しかし、その『歪曲』を発生させるために、魔物自身の最も重要な『構造』が、一瞬だけ脆弱になっている。

【『歪曲』への一撃】

「フィーナさん!この魔物は、**『歪曲の魔力』を戦略に使っています!」サトシは叫んだ。「奴らが飛び跳ねる、その直前!後脚の関節の奥に、一瞬だけ『構造的な隙間』ができます!そこに、『リ・アジャストポーション』**を叩き込んでください!」

サトシの指示は、魔物の**『歪み』を生み出すために生じる『構造の欠陥』**を、ポーションで攻撃してバランスを崩す戦術だった。

フィーナは即座にポーションを手に取った。サトシが割り出した**『欠陥の座標』**に、ポーションを投げつける。

次の瞬間、一体のハウンドが飛び上がろうと地面を蹴った。その関節の**『歪み』**に、ポーションが正確に命中する。

クゥン!

魔物の足が地面を蹴り離れた瞬間、ポーションの成分が、その**『歪み』を生み出すための『筋繊維の緊張』**を和らげ、**不必要な『歪曲』だけが残った。ハウンドは、自らの『体』**を制御できず、空中で体勢を崩し、不格好な体勢で地面に叩きつけられた。全身の筋肉が緩み、一時的に動けなくなる。

「今だ!」

サトシは叫ぶと、倒れたハウンドの**『弱点』**に、万能工具を渾身の力で突き立てた。

ライオスはサトシの無事を確認すると残りのハウンドを誘導する。フィーナのポーションとサトシの機転によって次々と倒れる、動けないハウンドにライオスは一撃で止めを刺していった。

静寂が林に戻った。

サトシは、初めて自分の**『構造把握』**が、**戦闘の『戦術』**として機能したことに、深い確信を得た。

「お見事でした、サトシ殿!あなたの**『構造把握』は、魔物の『動き』**の弱点まで解析できるのですね!」フィーナは興奮気味だった。

「僕にこの戦い方を教えてくれたのは、ライオスさんです」サトシは、静かに言った。

「そして、その**『構造』を操るための『力』**をフィーナさんがポーションにしてくれた!」

三人は、篝火の灯る場所に戻り、水路都市アクアリアへの旅路で、一層の警戒を固めるのだった。


動きの読めない魔物グリム・ハウンド

最近になって頻繁に現れるようになった魔物、ファング・ウルフの変異種とも言われている、その筋肉は異常に発達しており、獲物を追い詰めるために、不規則な軌道で飛び跳ねる、歪曲の魔力を帯びた魔物

歪曲の魔物はその性質上、元の魔物を捻じ曲げ凶暴化させ、特殊な力を得る

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