視察
前回の途中にこちらを追加しました。失礼いたしました。
――1937年11月17日、高等研究計画局、スーツ、大野和夫
真空管ベースで簡易VHFネットに参加できるテレタイプ端末が作れることに気づいたので、作ってみてもらった。暗号化は簡単なメカニカル換字暗号だけど換字表は機器固有。TPM的にも機能する。テレタイプがでかいからしかたないけど、でかい。占有帯域が狭いから端末1台をホストにしてテレタイプをたくさんぶら下げられる。あれ、ややこしいな。穿孔紙テープ出力すれば、オフラインでもつかえる。
あれ、これプロッタにもNCにも使えるんじゃない? アンプリダインに紙テープからよんだパルスを送るだけだ。幅広くしとけば何チャンネルでもいける。ラッキー。
――1938年4月、関東一円、従軍服、高田あき
こっちきて4年たった。良いお年になっちゃったよ。あれ、マイナスなのか? 密勅が下りて内閣参議兼高等研究計画局次長兼内閣情報局次長兼海軍技監になった。長いよ。
総理に実働部隊を見てこいっていわれたので行ってきます。いろいろ回るよ。運転手付き。こっちで教育した子のエスコートつきだ。バカ殿? ご隠居? ずっとヒッキーだったから旅行気分。現地指導とかはしない。
車はけっこうのりごごちいいし、静か。ところにより渋滞はおき始めてるし高速はないから時間はかかるけどね。
行った先ではネット使える。便利。車にもアンテナつけてもらえばよかったかな。
駆逐艦
ひさしぶりの横須賀。駆逐艦は一隻あたり端末3台。聴音および魚雷誘導用と対空警戒、射撃用、通信だ。端末以外は真空管。まだ耐久性も信頼性も真空管のほうが上だからね。基本的に端末に入った情報は全部VHF系で艦隊内共有される。LORANみたいな測位装置もある。魚雷はジャイロと水深計、音源、真空管ベースの受信機つんでて、駆逐艦の出す音響信号である程度誘導できる。100発100中ではないけれど、1万メートルなら概ねあたるって。砲や機銃はアンプリダインで端末から直接制御。敵機がすくなければ、機銃の射程までには概ねあたるらしい。対艦誘導ロケットはまだ配備が進んでいない。敵潜水艦は遠くから聴音で位置がわかる以上ただの的だって。新造艦や大修理の艦からデジタル化を進めていて、いま30隻ぐらいだそう。潜水艦もデジタル化進んでるらしい。のせてくれなかったけど。
空母
司令長官腰が低いよ。むこうのほうが格上なのに。ラッタルの上り下りでヘタってたら鼻でわらわれたけど。一隻あたり端末4台。警戒、射撃、通信2台だ。6機つんでる電波偵察機にも端末のせてる。もちろん見通し範囲全域探知。移動してるから、1台で三角測量できるんだね。偵察機って名前だけど、攻撃機が落とした爆弾の誘導も最大16発同時にできるって。爆弾はVHF電波だから魚雷よりも精度がでるらしい。機体はレシプロだけどターボついてて高高度性能重視。空母はみんなデジタル化ずみ。
輜重兵連隊
人力で大八車引っ張ってるよ。馬はちょっといるけど、自動車はないらしい。地図や旧型無線機がもらえてありがたいって。それ、お下がり? 海軍との差がすごすぎない?
歩兵連隊
端末はないけれど、LORANはある。師団から敵情まではいった作戦地図が大隊レベルまでおりてくるし無線機が優秀なので中隊レベルまでリアルタイムで支援要請ができる。自動小銃もあるし無誘導だけど対戦車ロケットもある。対空ロケットはない。ぜんぶかついで歩くよ。担架で運びましょうかっていわれたけどお断りしました。そんなに? 普通だと思うんだけど。補給は大八車。
工兵連隊
爆薬は進歩したそうだし、ブルドーザーが使われはじめてる。端末はないけれど、LORANはすごいらしい。補給は自動車。自動車連隊が輜重兵連隊と別にあるんだね。
飛行団
基地と司令部偵察機の一部には端末がのってる。端末が載ってる機体は敵上空に行かない運用。司令部偵察機の機体はすらっとしてていい感じ。写真撮影用の窓もあるよ。海軍の偵察機と端末ソフトウェアやセンサなどはほぼ共有らしい。海軍から来ている人もいる。見通し範囲内なら爆弾の誘導もできるってことだね。高空からの撮影でも畳み込みニューラルネット使った画像認識で部隊規模、種別がわかるし、レーダーで敵砲兵や司令部通信所の位置がわかってリアルタイムで地上と共有できる。
うーん、敵陣の奥まで送り込んで鹵獲される未来が見える。自動破壊装置はいるな。みんなメモとってるんですけど。あれ、これ現地指導?
師団司令部
師団長も腰が低い。端末があって偵察機情報が共有されてる。敵の配置が入った地図もプロットして前線部隊に配布できるよ。必要に応じて海軍との連携もできる。
野戦重砲兵連隊
端末があってレーダー送信機と空中線につながってる。射撃諸元は口頭で指示するのに兵が合わせている。偵察機と連携して対砲兵射撃、対司令部射撃もできる。歩兵部隊からの要請はLORAN座標で入るから、ほぼ即時に対応できる。補給はおおむね自動車。
ラジオ工場
37年型真空管を使ったラジオをアメリカに輸出してる民間工場。持ち運べるし安くて長持ちなのですごく評判がいいとのこと。売り上げで真空管の開発も進んでるし、半導体素子も試作用に入ってきているらしい。ブラウン管テレビは量産直前、輸出用だね。
トラクター工場
エンジン部品は紙テープ入力のNCだ。端末使ってないからでかいよ。燃焼の解明でディーゼルエンジンの性能はあがったし、冶金の改善でプレス加工が容易になったので生産コストはだいぶ下がった。トラクタはそろそろアメリカに輸出できるレベルらしい。
陸海共同ロケット推進研究所
軸流式ジェットエンジンが100時間程度は安定動作するようになっている。固体ロケット、液体ロケットも実用可能。短距離なら誘導可能。もちろん端末のせればなんでもあり。耐熱金属材料は海外依存。
原子力研究施設
関東州にあるからテレビ会議。海底ケーブルでVHF通信ができるようになってる。低濃縮ウランの生産と黒鉛減速ガス冷却実験炉の建設がすすんでいるらしい。ウランは輸入ものを使っているけれど、モンゴル産も入ってきはじめている。再処理はまだまだ。
軍令部
軍令部次長まででてきた。端末を使ったシミュレーションが進んでいて、現状の能力分析を見せてもらった。当面は戦力過剰だね。全世界の海軍同時にきても圧勝だって。将来もよほど数に差がつかなければ、出てくる敵にはまず負けないって豪語してる。戦闘機の速度差も大きいので、制空権も確立できる。ただし今後の高高度防空には限界があり、相手国沿岸部での1000機単位の航空機による攻撃には耐えない場合があるそう。陸軍の人もいるね。共同シミュレーションとか交換人事とかはじまってるみたい。陸軍の戦力不足も認識されてる。
参謀本部
補給が十分なら数倍程度の他国軍隊と衝突して負けることはほぼ考えられないって。まあそうだよね。常備17個師団しかないから、100個師団単位できたらだめだけど。戦線上空までの航空優勢の確保はできるけど、敵補給の妨害能力はまだ低く、戦略爆撃能力はほぼない。兵站能力、突破能力、前線の対空、対戦車能力が課題。内陸への長距離侵攻能力は限られてる。補給は自動車を使いたいけれど、運転手も車も燃料もたりない。燃料運ぶのに燃料がいるのが痛いらしい。河が使えなければ道路、鉄道とパイプラインを建設しながら進む方向で考えているらしいけど実体はまだまだ。
陸軍はある程度の数の敵正面部隊の殲滅はできるけれど、そのあとどうするのっていわれると難しいってなってる。
陸海でお互いの能力が共有されてるのはいいよね。海上輸送能力、燃料、弾薬などの備蓄量も共有されてて、シミュレーションが進んでる。海軍の人が陸戦で陸軍の人に買ったりもしてるって。仲がいいのは結構かな。
陸海共同動員徴兵部
アナログ師団を増やしても戦力の増加につながらないから、当面は工作機械や自動車、電子機器の生産を増やしてデジタル化をすすめたいらしい。工場の自動化が進めば動員が可能になる。海軍は飛行機整備のコストが下がった分余裕があるから、フライトシミュレータを使って搭乗員教育を進めている。操縦方式は陸海で揃えているので、ある程度搭乗員を融通できるらしい。
おうち帰ってきた。ちょっと安心。ダイエットしよ。
このまま平和に進んでいけばいいんだけど、ヨーロッパがなぁ。
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