表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

3 一月経過



修行が始まり二週間が経った。

初日から生活サイクルは変わっていない。

緊張で四時に目が覚めて、十五分前に店に着く、十二時までジャックさんと都心を歩き回り、八時くらいまでナインさんの講座を受ける。

その間、重りをつけ、常に片耳から情報が流れてくる。

最初は速すぎて内容が分からなかったが、今は半分は聞き取れるようになった。

もう半分は外国語で、その国の言語でその国の情報が流れるようになっていると、ジャックさんんから教わった。

全部で十カ国以上あるらしい。

いや、身体能力だけでなく、頭もすごいってここは超人の溜まり場かよ。

できる気がしない・・・。


こんな感じでとても充実しているのだが、同時に正直、体がもたない。

理由は二つある。

一つは、一週間経過した辺りからナインさんが学術書を三日で一冊読めと言ってきたからだ。

渡された学術書は大学生レベルであり、四百ページあった。

いつ読むんだよ・・・。

しかし、反論できるはずもなく帰ってから一日百ページ以上がノルマとなった。

その結果、睡眠時間を削るハメになり、疲労が溜まりに溜まっていた。

もう一つは、ジャックさんがトレーニングの内容を変えて来たからだ。

今までは街中を適当な道順で歩いていたが、ビルの中も歩くようになった。

これがキツい。

階段の昇り降りを繰り返すのだが、条件が厳しい。

重りを着け、しかも東京なので高いビルが多い。

つまりとんでもなく体力をつかうのだ。

帰った時には足がガッタガタになっている。

とんでもないトレーニング法だ。

確かに筋肉がついて来ているが、そろそろやばい。

以上の二つで僕は今ぶっ倒れそうになっている。

そう言えば、初日でジャックさんが睡眠時間二時間とか言ってたな。

コツとかあるのかな?


「ジャックさん、睡眠時間を短くするコツってありますか?」


僕が尋ねると、ジャックさんは綺麗な笑顔で答える。


「ええ、ありますよ。ですが、ノートに書いてあったはずです。読んでないのですか?」


えっ!ノートに書いてあったの!?

そう言えば初日パラパラと見たきりっだった。

ちゃんと注意深くは読んでいなかった。

あの中に睡眠時間を短くするコツがあったのか!

すると、何も答えない事が答えだとバレたようで、ジャックさんの笑顔が途端に怖い笑顔になる。


「その様子だと読んでいないようですね。ナインに宿題を増やすよう言っておきましょう。」


「ああ〜、違います!読んだのですけど、まだ完璧ではないというか・・・。」


「残念ですが、それは読んでいない事と同意です。特にあれには役に立つ情報がいろいろ載っていますので、しっかり読まないとダメですよ。」


「は、はい・・・。」


やっぱりジャックさんの笑顔怖い・・・。

結局宿題増やされたし・・・。

帰ってノートを見てみると、確かに書いてあった。


『睡眠を深く、短くさせる方法

まず、専用のジュースを作る。材料は梅干し、ニンニク、牛乳、乾飯、アスパラガス、コーヒー、ちくわ、納豆、アスパラガス、コーヒー、ちくわ、納豆、七味唐辛子を全て適当に混ぜる。これを一日一杯以上飲むべし。

次に寝るときの呼吸法を変える。身体中の血管に血が通うことを意識しながら大きく息を吸い、酸素がより血の中に入るよう意識しながらゆっくり息を吐く。(深呼吸を進化させるイメージ)

以上の二つを実行すべし。』


何だこれ・・・。

二つ目は割とありそうな方法だが、一つ目のジュースの材料おかしいだろ・・・。

まず牛乳と梅干しの組み合わせが想像できない。

っていうか何でアスパラガス二回出て来てるんだよ。

普通✖️二とかだろ。

あとコーヒーと納豆と七味唐辛子とか意味不明だし。

さらに材料が組み合わさればもっとわからない。

何でノート確認した時気づかなかったんだ?

これは見逃しちゃダメなやつだろ……。

材料見ただけで飲む気を失わせるとか凄すぎる。

これ作った人は脅しな天才だな。

ああ〜もう!飲みたくないけど飲んでやる!

どうせ断れないし……。

奇跡的に材料がうちに全部揃ってるし、作るか…。

ミキサーに材料適当に入れて作ったみたけど、これ本当に飲めるのか?

一口飲んでみよう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

これ人が飲むものじゃない……。

でも脳裏にジャックさんの良い笑顔が浮かんだ。

はあ、飲むか。


翌日僕は深く短い睡眠で気持ち良く目覚め、さらに宿題が増やされた。




一ヶ月程経った。

今日はお店に行くと珍しくジョーカーさんがいた。

ジャックさんとカウンターで何か話している。

と言うよりジャックさんが一方的に話しているようだけど。

この人ジャックさんよりもナインさんよりも小さいけど、一番強いんだよな・・・。


「おはようございます!」


「蓮くん、おはようございます。」


「・・・・・・・・・・・・。」


ジャックさんはいつも通り綺麗な笑顔で挨拶してくれたけど、ジョーカーさんは挨拶してくれなかった。

やっぱりこの人少し無口なのかな?


「蓮くん、明日から一週間私と他二名と合宿に行きますよ。」


「はい!?明日からですか!?」


ジャックさん、いきなり爆弾発言しないでください……。

合宿って何ですか。

急すぎるでしょ。


「ええ、いつもの服装で構わないですよ。下着の着替えだけは持って来てくださいね。」


「は、はい。」


下着だけ?

服は、向こうにあるのかな?


「ああ、あと合宿は肉体中心に行われるので、今日は午前中からナインの講座ですよ。」


「ええ!?それじゃあ十四時間ぶっ通しじゃないですか!」


「ええ、特に今日は一週間分詰め込むのでナインが張り切っていましたよ。」


ナインさんは全教科担当してもらっているが、彼女なかなかスパルタなんだよな・・・。

それがさらにハードモードとか無理ゲーか。

あっ、そう言えばジョーカーさんは何しに来たんだろう。


「あの、ジョーカーさんお久しぶりです。珍しいですね。いつもはいらっしゃらないのに。」


「・・・・・・・・・・。」


やっぱり無口なのかな。

何も答えてくれないや。


「合宿に参加するのはセブンだ。奴らから体の使い方を学べ。」


「は、はい!」


喋ってくれた!

相変わらず少年みたいな声だな。

いや、本当に少年なのか?

体型も平均的な女性の身長よりも小さいし。

でも、ジョーカーさん飲んでるのあれお酒だよな。

未成年じゃないのか?

じゃあ、小柄な女性なのかな?

そう言えば・・・。


「そう言えば、ジョーカーさんは盲目なのですか?」


前々から気になっていたんだよな。

目を閉じているのは、極度の人見知りなのか。

それとも盲目だから目を閉じているのか。

どっちだろう……。


「……そのうち分かる。」


えっ、どういう意味だ?


「あの、どういうーーーーー。」


「さあ、蓮くん。今日は私と一日中勉強しましょうね。」


「わあっ!ナインさんいつの間に……。」


どういう意味か聞こうとしたが、いつの間にか背後にいたナインさんに遮られてしまった。


「ほら、私の楽しい楽しい授業を始めるわよ。」


「はい…。」


まあ、そのうち分かると言っていたんだし、今度でも大丈夫か。

そのままいつもの席で十四時間みっちりナインさんの講義を受け、遅くに帰った。

家族には塾の合宿を申し込んでいて、言い忘れたと説明した。

部屋に戻り、いつものベットに寝っ転がる。


「は〜。疲れた。座りっぱなしっていうのもキツいんだな。あれ、そう言えば初日より重りの重さを感じないな。」


腕を動かしてみると思い通りに動く。

初日は重りが慣れず、腕が思い通りに上がらなかった。


「すごい、強くなっているんだな。」


あっ、そうだ。

明日の支度……は下着だけだったな。

まあ、大丈夫かな。


僕は疲れでそのまま眠ってしまった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ