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2 修行初日


僕の目の前には綺麗な笑顔をするジャックさんがいる。


「おはようございます・・・。」


「おはようございます。ちゃんと時間前行動が出来ていますね。」


「ありがとうございます・・・。」


何故だろう、褒められているのに嬉しくない。

あの笑顔からは何も読み取れない。


「では、今日から修行を始めましょう。」

 

こうして地獄並みの修行が始まった。



今朝は四時に起きた。

目覚ましをセットした時間よりも早かったが、緊張で目が覚めてしまった。

頬を引っ張り、夢じゃないことを確認して行動する。

昨日は風呂に入らずに寝てしまったため、風呂に入ってから朝ごはんを食べた。

朝ご飯は昨日の残り物をレンチンして食べた。

本当は母に作って貰いたかったが、この時間に起こすのは気が引けた。

朝ごはんを食べたあと、重りとスマートウォッチ、ワイヤレスイヤホンをつけ、スマホをポケットに入れる。


「このワイヤレスイヤホン凄いな。落ちにくい上に耳が痛くならない。」


全体的に品はいいので嬉しいが緊張で素直に喜べない。

結局早く家を出て、十五分前に店に到着してしまった。

時間ぴったりの方がよかったかな?

ああ〜胃が痛い。

緊張しながら店に入るとジャックさんと女性の人が居た。

女性は整った日本人の顔で大和撫子を思い出させる。

綺麗な黒髪は腰あたりまで伸ばし、モデル並みの体型だ。


「おはようございます!初めまして、相川蓮と申します。」


「あら、初めまして。貴方が昨日弟子入りした方ですね。私はナインよ。よろしくね。」


「はい!よろしくお願いします!」


ナインさんは綺麗な声で挨拶してくれた。

顔も美人で声も美人とか、モデルかよ。

思わず見惚れてしまった。

穏やかな挨拶を終えたところで、ジャックさんから恐ろしいオーラが漂ってきたので冒頭に戻る。



「ジャック、貴方もう少し私と話をさせてもらったて良いじゃない。この子少し早くきて時間的余裕がまだあるのよ。」


「ナイン、彼は若いのです。時間は有限。若い時の成長は素晴らしいのです。というわけで蓮くん、行きますよ。」


「は、はい!」


ジャックさんに連れられて都会の中心をひたすら歩くというトレーニングが始まった。

朝六時は仕事場に行く人たちが大勢いた。

その中を両腕両脚に四キロずつの重り、ベスト型の重りが二十キロ。計三十六キロ。

そりゃ昨日のリュックが重いわけだ。

さらにイヤホンからは情報の塊が音となってやってくる。

ジャックさんに聞いたところ、東京を中心とした現在の様子や事故、ニュースや経済情勢など、ありとあらゆる情報が流れるそうだ。

事故が起こりそう、又は事故が起きた場合すぐに駆けつけるよう最優先で連絡が来るという。

ちなみにこのひたすら歩くトレーニングは自分の足が車より早くなったら、地図なしで駆けつけられるよう、道を覚えるという訓練も兼ねているらしい。

・・・自分の足が車より早くなる?

人間の域超えてるだろ・・・。

何サラッと言ってるんだこの人・・・。

普通に生きてたら出来ない業だな。

いや、多分組織の人は全員出来るのだろうな。


「ジャックさん、ジャックさんは重り着けているんですか?」


「ええ、付けていますよ。計二百キロほどですが。」


そのセリフに僕は思わずジャックさんを見つめる。


「因みにジョーカーは普段五百キロだと言っていました。まあ、あの人は規格外なので参考にしない方が宜しいかと。」


「ご、五百キロ・・・。僕より小さいのに・・・。」


しかも、あの声はもしかして僕よりも年下かもしれない。

年下だったらどうしよう・・・。

落ち込んだ僕にジャックさんは励ましてくれる。


「はっはっは!身長は関係ないですよ。ジョーカーはあれでも我々のトップなのですから当然ですよ。」


「ですよね・・・。」


「まあ、落ち込む必要はないですよ。絶対に強くなれますから。」


ジャックさんはきらりと良い笑顔を見せ、少し歩くスピードを上げる。

僕もそれに追いつこうと歩くスピードを上げた。


この日僕は六時間、つまり昼の十二時まで歩いた。

バーに戻ってきた僕はクタクタだった。

しかし待っていたのは昼食ではなく、ナインさんによる必修講座だった。


「うふふ、さあ始めましょ。難関大学なんてスキップで行けちゃうくらい勉強しましょうね。」


流石に帰ってきてすぐにこのセリフを聞いた時はナインさんが地獄の鬼に見えた。

一応昼食も取れたが、講座を聞きながらだった。

バーにある机で向かい合わせになりながら聞いたおかげで、授業はよく分かったが、なかなかトイレに行かせてくれなかった。

何でもトイレに行くのを我慢するのも訓練らしい。

講座は夜の八時までみっちり続いた。

途中からバーに一般のお客さんもやってきたが、関係なく講座は続いた。


「はい、お疲れ様。一週間ごとにテストがあるから、復習をちゃんとしてきてね。」


「は、はい・・・・・・。」


こうして僕の修行一日目は幕を閉じた。

いや、帰る道のりも筋肉痛でメチャクチャ大変で、帰ってからも復習やら、晩御飯やらで家の中の移動さえも大変だった。

一日を振り返り、頭の中ナインさんの講座を復習する。

寝る前にノートに書いてあるストレッチをこなして寝た。

翌朝、このストレッチのお陰で筋肉は完全回復して、ジャックさんにまたしごかれることになる。






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