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死なない私の物語  作者: 蜻蛉
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魔動列車にて ー捜索③ー

「すみません遅くなりました。戻るまでになにか・・・あったみたいですね」

 戻ってみると10人近い黒フードの死体が転がっていた。

 二人組だけで行動してるわけではなかったのか・・・


 「ローレルさんおかえりなさい。そうですね、信奉者達の襲撃がありました。ほとんどは倒したのですが、内二人に逃げられ、先の車両に行ってしまいました。すみません。こちらの不手際です。」

 「そちらが技術者の方ですか、少し話もしたいところですが、今は増援を呼ばれることを警戒して早めに進む方がいいと思うのですがどうでしょうか?」


 「そうですね、保護する対象はもういないみたいですし、少し急ぎましょうか。皆さんは大丈夫ですか?」


 聞いてみると皆から大丈夫という返事が返ってきた。

 あのお爺さん、久しぶりに自分の足で歩いたって言ってたけど元気そうでよかった

 それにしてもレーンさんたちが倒し損ねるって結構強めの人が出てきたのかな?

 状況が良くなっているようには思えないな、急ごう



 元の隊列に戻って再度の出発。見てない車両も残り少ないし、ざっと見て避難場所に向かおう


 残りがいるって言ってもあと二人だし時間もまだそう経ってはいないはずだから増援もなし、後はそう苦労することもなさそうかなー


 そう思いながら次の車両のドアを開ける

 瞬間、目に入ったのはクロスボウを構えた二人組の姿、というかもう撃ってる


 (なんとも判断が速いことで、まあ矢二本なら避けて反撃で終わりか)

 と思い避けようとした瞬間、後ろに保護対象がいることを思い出した。


 (しまった!避けるのは駄目だ!じゃあ受け止めるか切り払うか、くそ!間に合わない!受ける!)


 左腕と右胸に衝撃が走った。

 見なくてもクロスボウの矢が刺さっていることはわかる。

 今見るべきは正面の二人、多少予定は狂ったが問題ない、ここで仕留める。


 いつも通り痛みは無視しながら剣を構え距離を詰める。

 初め矢が当たったことに笑みを浮かべていた表情が驚きに代わる。

 結果は予定通りだった。

 問題なく二人を切り伏せて、後ろの保護対象も怪我はない予定通り問題なし、

 問題があるとすれば・・・


 (油断はしていなかった。ただ相手を倒すことに集中して後ろを忘れてしまっていた。)

 守ろうと決めていたというのに、守ることを忘れるなんてこんなバカな話があるだろうか

 今まで一人で戦ってきた。一人で相手を倒す戦いをずっと繰り返してきた。

 だから誰かを守るというのは前を、敵だけを見ていればいいのではないと理解できていなかった。

 同時にゾッとした。もし、後ろを思い出さずいつも通りに戦っていたら、そして矢が刺さってしまっていたら私と違って皆は死にやすいから最悪死んでしまっていたかもしれない。


 (今回は幸運だった。だけど次があったら私は守れるのかな?)


 今更ながら、敵を倒すということと誰かを守るということの違いが少しわかった気がする。

 少しでもわかったから、わかってしまったから不安になってきた。

 だけど少なくとも今は問題ない風を装わなければ、もうすぐなんだから皆を不安にさせるわけにはいかない。


 「皆さん怪我はありませんか?ないのなら先へ進みましょう。」


 「そんなことよりローレル嬢ちゃんは大丈夫なのか!?ボルトが刺さっとるじゃないか!」


 「ああ、問題ありません。この程度ならすぐに治るので」

 そう言いながら矢いやクロスボウならボルトっていうのか、ボルトを引き抜き少し力を入れる。

 刺さった場所ががわずかに光り傷が治っていく。うん、問題なし


 「この程度って・・・いや分かった、嬢ちゃんが言うならそうなんだろう。今は先に進もう。」


 「はい、ありがとうございます。それでレーンさん、逃がしたのはこの二人でしたか?」


 「体格や装備からこの二人だと思います。でも一応警戒は怠らずに進みましょう。」


 その後は特に問題もなく残りの車両の捜索も終わり、先頭車両に着いた。


 「少し待ってください。今スロープを出しますので」


 そう言ったガウルさんが設置した板みたいなのを使って皆降りた後レーンさんが話し始めた。


 「さて、ここからは他乗客たちが避難していると思われる場所までの移動ですが、とりあえず数は少ないですが円形に隊列を組みましょう、保護対象を中心に先頭はローレルさん、真ん中左右に私とベル、後ろ左右にアグネアとレティシアでどうでしょうかローレルさん。」


 え、なんで私に聞くの?隊列とかややこしいことはレーンさんが考えてくれるものとばかり・・・

 まあとりあえず保護する人たちを囲む感じか、よくわからないけど多分大丈夫だろう。


 「それで行きましょう。引き続き前方はお任せください。」


 「ありがとうございます。ここからは信奉者がどこにいるかわからないのでより警戒しましょう。」


 「そうですね、とりあえずそこで見ている人にも話を聞いてみましょう。」


 「え?」「おいおいまじか気配を消していたのによくわかったなお嬢ちゃん」


 「まあ鍛えてるので、それで敵意が無かったので一応味方と判断しているのですが、ここから避難場所まではどうでしょうか」


 「まず自己紹介をしておく。俺はシャード、魔動列車の警備の一人だ。ここには向かった乗務員と魔動列車の様子を見に来た。それでここから避難場所までについてだが、来るときに信奉者はいなかったし、何か罠を仕掛けている様子もなかった。つまり割と安全ということだ。まあ移動の時は当然警戒した方がいいとは思うが。ちなみに距離は歩きで15分といった所だ」


 「わかりました。留まってもいいことはありませんし急いで移動しましょう。シャードさん先を見てきてもらっていいですか?」 


 「任せろ。それで聞きたいんだが、ガウルの旦那がずいぶんぼろぼろのようだが、移動はできそうなのか?」


 「俺は問題ないです。服はボロボロですが、すでに傷は治っていますので」


 「ほう・・・それは良かった。じゃあ俺は先に行く。何かあったらたいまつを点けて3回振るからそれで判断してくれ」


 「よろしくお願いします。それでは皆さん、疲れているでしょうが、もう少しです。ここは少し急いで行きましょう」


 そう告げて、皆の速度に合わせつつ先を進む。

 これでひと段落かな?避難場所に着いたらご飯が食べたいなあ

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